Evolton

広島大学 2024年度 前期理系数学 第1問

A,B,C,D,Eの5人が、それぞれゲームαとゲームβの2種類のゲームを行った。ゲームαの得点をx、ゲームβの得点をyで表す。次の表はそれぞれのゲームにおける得点である。ただし、a,bは整数である。なお、得点が負になることもあり得る。ABCDE得点 x768a4得点 y0−4−12bゲームαの得点の平均値は7であるとし、ゲームβの得点yの平均値をmとする。次の問いに答えよ。

(1) aの値を求めよ。

(2) p,qは実数で、p≠0とする。ゲームβの得点yをz=py+qにより変換し、新たな変量zを作成する。zの分散をsz2、二つの変量x,zの共分散をsxzとする。このとき、sz2とsxzをp,q,mのうちの必要なものを用いて表せ。ただし、変量xとzとの共分散はxの偏差とzの偏差の積の平均値である。

(3) 変量xと(2)で作った変量の相関係数が34であるとき、mとbの値を求めよ。また、pが正であるか負であるかを答えよ。

難易度4/ 10計算量4/ 10目安15分

データの分析 式変形、必要十分条件、計算整理

方針

平均から欠けた得点を確定し、偏差を表にして分散・共分散を計算する。一次変換では、定数項は偏差から消え、分散は係数の2乗倍、共分散は係数倍になることを用いる。最後は相関係数の絶対値から平均を、符号から係数の符号を決める。

解答

(1)
xの平均値が7であるから7+6+8+a+45=7である。よってa=10である。

(2)
yの平均値がmであるから0−4−1+2+b5=mよりb=5m+3である。yの分散はsy2=02+(−4)2+(−1)2+22+b25−m2=4m2+6m+6である。z=py+qであるからsz2=p2sy2=p2(4m2+6m+6)である。

また、xの偏差は 0,−1,1,3,−3 である。したがってsxy=0⋅0+(−1)(−4)+1(−1)+3⋅2+(−3)b5=−3mである。zの偏差はp倍されるのでsxz=psxy=−3pmである。

(3)
xの分散はsx2=02+(−1)2+12+32+(−3)25=4である。相関係数が34であるから−3pm2∣p∣4m2+6m+6=34である。大きさを比べると3∣m∣24m2+6m+6=34であり、これより2∣m∣=4m2+6m+6となる。両辺を平方して4m2=4m2+6m+6であるからm=−1である。よってb=5m+3=−2である。このとき相関係数は 34 に p の符号を掛けたものになるので、pは正である。

別解

解法2(偏差ベクトルで一括計算)

方針

5人分の偏差をベクトルとみなし、分散を長さの2乗、共分散を内積として処理する。一次変換後の偏差ベクトルが単にp倍になることから、qが消える理由とpの符号の役割を同時に明らかにする。

解答

(1)
xの合計は5⋅7=35なので7+6+8+a+4=35よりa=10.(2)
yの合計は5mであるからb−3=5m,b=5m+3.xの偏差ベクトルとyの偏差ベクトルをそれぞれX=(0,−1,1,3,−3),Y=(−m,−4−m,−1−m,2−m,b−m)とする。z=py+qの平均はpm+qなので、zの偏差ベクトルはZ=pYである。したがってqは分散・共分散に影響せず、sz2=15Z⋅Z=p215Y⋅Y,sxz=15X⋅Z=p15X⋅Yとなる。

ここで、分散は「2乗の平均−平均の2乗」からsy2=02+(−4)2+(−1)2+22+b25−m2=21+(5m+3)25−m2=4m2+6m+6.また、Xの成分の和は0なので、yから平均mを引く部分は内積で消える。よってsxy=15{0⋅0+(−1)(−4)+1(−1)+3⋅2+(−3)b}=9−3(5m+3)5=−3m.以上からsz2=p2(4m2+6m+6),sxz=−3pmを得る。

(3) sx2=15X⋅X=205=4である。相関係数の絶対値が3/4なので3∣m∣24m2+6m+6=34.両辺は非負であるから平方してよく、4m2=4m2+6m+6よりm=−1,b=5m+3=−2.このときsy2=4,sxy=3なので、xとzの相関係数は3p2⋅2∣p∣=34p∣p∣.これが3/4であるための必要十分条件はp>0である。したがってm=−1,b=−2,p>0.

総評

難度4、計算量4、想定15分。一次変換後の偏差がp倍になるため、qは分散・共分散から消える。標準偏差は∣p∣倍であり、最後の符号判定までが設問である。解法1の成分計算と解法2の偏差ベクトルの内積が一致し、m=−1,b=−2,p>0を相互確認した。

冊子PDFで見る広大のデータの分析の問題で問題集を作る

出典: 広島大学 2024年度 前期 理系・文系数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。