岡山大学 2024年度
文系数学 第3問
- 試験区分
- 前期
- 対象
- 文系
- 分野
- ベクトル、論証・証明、方程式・不等式
- 解法
- 内積の利用、恒等式比較、小問利用、不等式評価
- 難易度
- 5 / 10 計算量 4 / 10 目安 —
問題
平面上に三角形ABCを考え,その重心をGとする.以下の問いに答えよ.
(1) 等式GA+GB+GC=0が成り立つことを示せ.
(2) 平面上の任意の点Pに対して,次の等式が成り立つことを示せ.
∣PA∣2+∣PB∣2+∣PC∣2=3∣PG∣2+∣GA∣2+∣GB∣2+∣GC∣2
(3) 次の等式が成り立つことを示せ.
∣GA∣2+∣GB∣2+∣GC∣2=3∣AB∣2+∣BC∣2+∣CA∣2
(4) 三角形ABCの外接円の半径をRとするとき,次の不等式が成り立つことを示せ.
R2≧9∣AB∣2+∣BC∣2+∣CA∣2
出典:岡山大学 2024年度 前期 文系 第3問
方針
解法1(標準解法)
重心を基準に3頂点へのベクトルの和を0にし、平方展開の交差項を消す。(3)は辺ベクトルの差を展開し、(4)は(2)へ外心を代入する。
解法2(3点の分散恒等式)
3本のベクトルの平均と、3組の差の2乗和を結ぶ恒等式を一度証明する。この恒等式にPA,PB,PCを代入すると(2),(3)が同時に得られ、外心の代入だけで(4)へ進める。
解答
解法1(標準解法)
(1)
任意の点 O を基準にすると,重心 G について
である。したがって
GA+GB+GC=(OA−OG)+(OB−OG)+(OC−OG)=0
である。
(2)
u=PG,a=GA,b=GB,c=GC とおく。(1)より a+b+c=0 である。また
であるから,平方を展開して
∣PA∣2+∣PB∣2+∣PC∣2=3∣u∣2+∣a∣2+∣b∣2+∣c∣2+2u⋅(a+b+c)=3∣PG∣2+∣GA∣2+∣GB∣2+∣GC∣2
である。
(3)
(2)と同じく a=GA,b=GB,c=GC とおく。すると
である。よって
∣AB∣2+∣BC∣2+∣CA∣2=2(∣a∣2+∣b∣2+∣c∣2)−2(a⋅b+b⋅c+c⋅a)
である。一方,a+b+c=0 より
∣a∣2+∣b∣2+∣c∣2+2(a⋅b+b⋅c+c⋅a)=0
である。これを代入すると
∣AB∣2+∣BC∣2+∣CA∣2=3(∣a∣2+∣b∣2+∣c∣2)
であるから,求める等式が成り立つ。
(4)
三角形 ABC の外心を O1 とする。(2)で P=O1 とすると
3R2=3∣O1G∣2+∣GA∣2+∣GB∣2+∣GC∣2
である。右辺第1項は0以上なので
である。(3)を用いて
となるから,
である。
解法2(3点の分散恒等式)
(1)
任意の原点Oに対し
両辺を3倍して移項すれば
(2)、(3)
任意の3本のベクトルu,v,wと、その平均
について、平方を展開すると
∣u∣2+∣v∣2+∣w∣2−3∣g∣2=31{∣u−v∣2+∣v−w∣2+∣w−u∣2}.(*)
実際、右辺を展開すると
32{∣u∣2+∣v∣2+∣w∣2−u⋅v−v⋅w−w⋅u}
となり、左辺も3∣g∣2=∣u+v+w∣2/3を用いると同じ式になる。
ここで
とする。その平均はPGで、差は
である。よって(∗)から
∣PA∣2+∣PB∣2+∣PC∣2=3∣PG∣2+3∣AB∣2+∣BC∣2+∣CA∣2.(1)
(1)へP=Gを代入すると
∣GA∣2+∣GB∣2+∣GC∣2=3∣AB∣2+∣BC∣2+∣CA∣2,
これが(3)である。これを(1)へ戻せば
∣PA∣2+∣PB∣2+∣PC∣2=3∣PG∣2+∣GA∣2+∣GB∣2+∣GC∣2,
となり(2)も得られる。
(4)
外心をO1とする。(1)へP=O1を代入すると左辺は3R2であるから
3R2=3∣O1G∣2+3∣AB∣2+∣BC∣2+∣CA∣2.
∣O1G∣2≧0より
R2≧9∣AB∣2+∣BC∣2+∣CA∣2.
等号はO1=G、すなわち三角形が正三角形のときに成立する。