方針
2つの絶対値不等式を4本の直線で囲まれる平行四辺形として見る。隣り合う2頂点を求め,1辺の長さと平行線間の距離から面積を b(a+c)4 と表す。条件 a+b+c=1 から a+c=1−b として,b(1−b) の最大値を使う。
解答
領域 D は−1≦ax+by≦1,−1≦cx−by≦1で表されるので,2組の平行線で囲まれる平行四辺形である。
直線 ax+by=1 と cx−by=1 の交点を P,直線 ax+by=1 と cx−by=−1 の交点を Q とする。連立して解くとP=(a+c2,b(a+c)c−a),Q=(0,b1)である。したがってPQ=b(a+c)2a2+b2である。また,平行線 ax+by=1 と ax+by=−1 の距離はa2+b22である。よって D の面積 S はS=b(a+c)2a2+b2⋅a2+b22=b(a+c)4となる。
条件 a+b+c=1 より a+c=1−b であり,a,b,c は正だから 0<b<1 である。したがってS=b(1−b)4である。ここでb(1−b)=−(b−21)2+41≦41だから,S≧16 である。b=21 で,例えば a,c>0 かつ a+c=21 とすれば等号が成り立つ。よって面積の最小値は 16 である。
別解
解法2
方針
新しい座標 u=ax+by, v=cx−by を導入する。領域は uv 平面の一辺2の正方形へ写るので,線形変換の行列式から面積を一度に求める。
解答
u=ax+by,v=cx−byとおく。領域 D は uv 平面では∣u∣≦1,∣v∣≦1という面積4の正方形である。変換行列の行列式はacb−b=−b(a+c).したがって面積の倍率から[D]=b(a+c)4.条件 a+b+c=1 より a+c=1−b だから[D]=b(1−b)4.0<b<1 であり,b(1−b)≦41なので[D]≧16.b=1/2,a+c=1/2 となる正の a,c を選べば等号が成立する。よって最小値は16である。
総評
難度5,計算量5。想定時間は18分程度。絶対値不等式を平行四辺形として読めるかが出発点である。面積計算は座標を全部出してもよいが,1辺の長さと平行線間の距離で整理すると短い。採点点は,領域が平行四辺形になること,面積が 4/[b(a+c)] に簡約されること,b(1−b)≦1/4 の等号条件を確認することである。
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出典: 一橋大学 2017年度 前期 数学 第4問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。