方針
曲線上の x=t における接線が x 軸と交わる点の x 座標を g(t)=t−f(t)/f′(t) として表す。Q は g(α) にあるので,g(t)=g(α) を解く。接線 y=0 も候補に含め,傾きが最小の接点を選ぶ。第(2)問は α=2 を代入して接線と曲線の差を因数分解し,定積分で面積を求める。
解答
(1) f′(x)=3x2−3 である。x=t における接線が x 軸と交わる点の x 座標を g(t) とすると,t=±1 ではg(t)=t−f′(t)f(t)=t−3(t−1)(t+1)(t−1)2(t+2)=3(t+1)2(t2+t+1)である。したがって Q の x 座標は g(α) である。
Q を通る接線の接点を x=t とすると,g(t)=g(α) を満たす。これはt+1t2+t+1=α+1α2+α+1であり,整理すると t=α または (t+1)(α+1)=1 である。よってもう一つの接点はt=−α+1αである。また x=1 における接線は y=0 であり,これも Q を通る。
各接線の傾きは f′(t)=3t2−3 である。α>1 だから f′(α)>0,x=1 の接線の傾きは 0 である。一方,−1<−α/(α+1)<0 より,この接点での傾きは負である。したがって傾きが最小の接線 l の接点の x 座標は−α+1αである。
(2) α=2 のとき,(1)より l の接点は x=−2/3 である。傾きは f′(−2/3)=−5/3,また f(−2/3)=100/27 であるから,l の方程式はy−27100=−35(x+32)すなわち y=(−45x+70)/27 である。
曲線と直線の差をとるとf(x)−27−45x+70=x3−34x−2716=(x+32)2(x−34)である。よって囲まれた部分は −2/3≦x≦4/3 にあり,この区間では直線が曲線の上にある。したがって面積は∫−2/34/3(x+32)2(34−x)dxである。u=x+2/3 とおくと,これは∫02u2(2−u)du=[32u3−4u4]02=34である。
別解
解法2(接線差の因数分解)
方針
接点 t における接線の x 切片を q(t) とし,q(t)−q(α) を積の形にする。面積計算では三次関数と接線の差が (x−t)2(x+2t) と必ず因数分解できることを利用する。
解答
(1)
x=t における接線を ℓt とする。t=±1 のとき,その x 切片はq(t)=t−f′(t)f(t)=32(t+t+11).点Pにおける接線の x 切片がQなので,Qを通る別の接線の接点 t はq(t)=q(α)を満たす。差をとるとq(t)−q(α)=3(t+1)(α+1)2(t−α){(t+1)(α+1)−1}.したがってt=αまたは(t+1)(α+1)=1.後者からt=−α+1α.なお x=1 における接線 y=0 もQを通る。
傾きは f′(t)=3t2−3 である。α>1 なので f′(α)>0,水平接線の傾きは0である。一方,−1<−α+1α<0だからこの点での傾きは負である。よって最小傾斜の接線 l の接点は−α+1αである。
(2)
一般に x=t における接線を ℓt(x) と書くと,三次式 f(x)−ℓt(x) は x=t を重解にもち,x2 の係数が0である。したがってf(x)−ℓt(x)=(x−t)2(x+2t).α=2 のとき t=−2/3 なのでf(x)−l(x)=(x+32)2(x−34).よってもう一つの交点の x 座標は 4/3 である。
囲まれた部分では直線が曲線の上にあるから,面積は∫−2/34/3(x+32)2(34−x)dx.u=x+2/3 とおけば∫02u2(2−u)du=[32u3−4u4]02=34.したがって求める面積は 4/3 である。
総評
難度6,計算量5。想定時間は20分程度。接線の接点を一般の t とおいて,x 軸との交点を関数化するところが山場である。x=1 の水平接線も Q を通るため,候補として確認したうえで傾き最小を選ぶ必要がある。面積計算は重接点を利用して因数分解できれば短い。
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出典: 一橋大学 2019年度 前期 数学 第3問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。