方針
赤玉2個の箱を A,赤玉1個の箱を B とし,n 回目に A を選ぶ確率を状態変数にする。A を選ぶ確率が r なら赤玉の確率は 1/3+r/3 である。1では次回の箱選択確率が直ちに 2/3 に固定され,2では一次漸化式の定常値 2/3 との差を取る。
解答
赤玉2個・白玉1個の箱を A,赤玉1個・白玉2個の箱を B とする。
(1)
n 回目に箱 A を選ぶ確率を rn とする。このときpn=32rn+31(1−rn)=31+31rn.(1)最初は無作為に箱を選ぶので r1=1/2,したがって p1=1/2 である。
次回に箱 A を選ぶのは,箱 A から赤玉を出して同じ箱を選ぶ場合,または箱 B から白玉を出して別の箱を選ぶ場合である。よってrn+1=32rn+32(1−rn)=32.したがって n≧2 では rn=2/3 であり,1 からp1=21,pn=95(n≧2)を得る。
(2)
n 回目に箱 A を選ぶ確率を sn とする。s1=1/2 でありqn=31+31sn.(2)赤玉なら同じ箱を選び,白玉なら次の箱を無作為に選ぶ。したがってsn+1=32sn+21{31sn+32(1−sn)}=21sn+31.定常値 2/3 との差を取るとsn+1−32=21(sn−32).ゆえにsn=32−61(21)n−1=32−31(21)n.2 へ代入してqn=95−91(21)nを得る。n=1 を代入すると q1=1/2 となり,初回とも一致する。
別解
解法2(条件付き確率と遷移行列)
方針
1は現在選んでいる箱が A,B のどちらでも,規則を1回進めた次に赤玉を引く確率が 5/9 になることを条件付き確率で直接示す。2は箱 A,B の選択を2状態のマルコフ連鎖と見て,遷移行列の定常分布と固有値 1/2 から箱選択確率を求める。
解答
赤玉の多い箱を A,白玉の多い箱を B とする。
(1)
n 回目の箱が A,B の各場合に,次回に赤玉を引く条件付き確率はそれぞれ32⋅32+31⋅31=31⋅31+32⋅32=95である。よって現在の箱によらず次回は 5/9 である。初回だけはp1=21⋅32+21⋅31=21なので,p1=1/2,pn=5/9 (n≧2) となる。
(2)
箱の選択を状態 A,B とする。現在 A,B から次に A へ移る確率はそれぞれ 5/6,1/3 なので,行ベクトルに対する遷移行列はT=65316132定常分布は (2/3,1/3),もう一つの固有値は 1/2 である。また(21,21)=(32,31)+(−61,61)なので,n 回目の状態確率は(32,31)+(21)n−1(−61,61).したがって A を選ぶ確率を sn とすればsnqn=32−61(21)n−1,=32sn+31(1−sn)=95−91(21)n.
総評
公式問題・公式出題意図・参照解答を照合済み。公式意図では,1 は現在の箱がどちらでも次回の赤玉確率が 5/9 になる点,2 は先に箱を選ぶ確率を求める点が手掛かりとして示されている。そこで状態確率の漸化式に加え,1の直接的な条件付き確率と2の遷移行列を別解として収録した。漸化式では初期値 n=1 と定常値との差を明記し,添字ずれを防ぐ。想定時間は18分程度。
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出典: 一橋大学 2022年度 一般選抜(前期日程)数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。