問題
中身の見えない つの箱があり, つの箱には赤玉 つと白玉 つが入っており,もう つの箱には赤玉 つと白玉 つが入っている。どちらかの箱を選び,選んだ箱の中から玉を つ取り出して元に戻す,という操作を繰り返す。
(1) 回目は箱を無作為に選び, 回目以降は,前回取り出した玉が赤玉なら前回と同じ箱,前回取り出した玉が白玉なら前回とは異なる箱を選ぶ。 回目に赤玉を取り出す確率 を求めよ。
(2) 回目は箱を無作為に選び, 回目以降は,前回取り出した玉が赤玉なら前回と同じ箱,前回取り出した玉が白玉なら箱を無作為に選ぶ。 回目に赤玉を取り出す確率 を求めよ。
方針
解法1(赤玉の多い箱を選ぶ確率)
赤玉2個の箱を ,赤玉1個の箱を とし, 回目に を選ぶ確率を状態変数にする。 を選ぶ確率が なら赤玉の確率は である。では次回の箱選択確率が直ちに に固定され,では一次漸化式の定常値 との差を取る。
解法2(条件付き確率と遷移行列)
は現在選んでいる箱が のどちらでも,規則を1回進めた次に赤玉を引く確率が になることを条件付き確率で直接示す。は箱 の選択を2状態のマルコフ連鎖と見て,遷移行列の定常分布と固有値 から箱選択確率を求める。
解答
解法1(赤玉の多い箱を選ぶ確率)
赤玉2個・白玉1個の箱を ,赤玉1個・白玉2個の箱を とする。
(1)
回目に箱 を選ぶ確率を とする。このとき
最初は無作為に箱を選ぶので ,したがって である。
次回に箱 を選ぶのは,箱 から赤玉を出して同じ箱を選ぶ場合,または箱 から白玉を出して別の箱を選ぶ場合である。よって
したがって では であり, から
を得る。
(2)
回目に箱 を選ぶ確率を とする。 であり
赤玉なら同じ箱を選び,白玉なら次の箱を無作為に選ぶ。したがって
定常値 との差を取ると
ゆえに
へ代入して
を得る。 を代入すると となり,初回とも一致する。
解法2(条件付き確率と遷移行列)
赤玉の多い箱を ,白玉の多い箱を とする。
(1)
回目の箱が , の各場合に,次回に赤玉を引く条件付き確率はそれぞれ
である。よって現在の箱によらず次回は である。初回だけは
なので,, となる。
(2)
箱の選択を状態 とする。現在 , から次に へ移る確率はそれぞれ , なので,行ベクトルに対する遷移行列は
定常分布は ,もう一つの固有値は である。また
なので, 回目の状態確率は
したがって を選ぶ確率を とすれば