Evolton

京都大学 1981年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

座標平面上に,原点と異なる3点ABCを考える.
Ax軸上にあり,By軸上にあるものとする.
Oを原点とするとき,1次変換ff(OA)=OB
f(OB)=OCf(OC)=OAをみたすものとする.
このとき,次の(1),(2)が成り立つことを示せ.

(1) OA+OB+OC=0

(2) OA=OBなるとき,
平面上の点Pで,OPf(OP)とが直交するならば,点Px軸上にある.
ただし,はベクトルの大きさを表わす.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

一次変換、ベクトル ベクトル成分計算必要十分条件内積の利用

方針

OAOB は直交する2本の座標軸上の零でないベクトルなので、これらを基底にして OC=sOA+tOB と表す。一次変換の線形性を f(OC)=OA に代入して係数比較を行い、まず OC=OAOB を確定する。(2) では OP=xOA+yOB と置き、OAOB かつ長さが等しいことを内積計算に反映させる。

解答

(1) OAOB は、それぞれ x 軸、y 軸上の零でないベクトルである。したがって互いに平行でなく、平面上の任意のベクトルはこの2つの一次結合で一通りに表せる。
そこで OC=sOA+tOB とおく。
一次変換の線形性よりf(OC)=sf(OA)+tf(OB)=sOB+tOCである。これが OA に等しいから、上の表示を代入してsOB+t(sOA+tOB)=OAとなる。すなわち tsOA+(s+t2)OB=OA である。 OA, OB の表示は一意なので、係数を比較して ts=1,s+t2=0 を得る。第2式から s=t2 であり、これを第1式に代入すると t3=1 である。t は実数だから t=1、よって s=1 である。
したがって OC=OAOB となり、OA+OB+OC=0 が示された。

(2)
平面上の点 P に対して OP=xOA+yOB とおく。(1) の結果を用いるとf(OP)=xOB+yOC=xOB+y(OAOB)=yOA+(xy)OBである。
いま OAOB は直交し、さらに OA=OB である。したがって交差項は消え、OPf(OP)=(xOA+yOB){yOA+(xy)OB}=xyOA2+y(xy)OB2=y2OA2となる。 OPf(OP) が直交するなら、この内積は 0 である。A は原点と異なるので OA0 であり、上式から y=0 が従う。
よって OP=xOA である。OAx 軸上のベクトルだから、点 Px 軸上にある。
\newpage

別解

解法2(座標成分で一次変換を追う)

方針

OA=(a,0),OB=(0,b) と置き、
OC をこの2ベクトルの係数で表す。変換を3回適用する条件から係数を決め、内積条件を成分で調べる。

解答

(1) OC=sOA+tOB と置く。f(OC)=OA と線形性よりsOB+tOC=OA.OC を代入して係数を比較するとts=1,s+t2=0.よって t=1,s=1 でありOA+OB+OC=0.(2) 共通の長さを r とし、OA=(r,0),OB=(0,εr) と置く。ただし ε=±1 である。OP=xOA+yOB なら (1) よりf(OP)=yOA+(xy)OB.したがってOPf(OP)=y2r2.直交条件から y=0 となるので Px 軸上にある。

総評

一次変換を基底表示で追い、係数比較に落とす問題。目安時間は20分。最初に OA, OB が基底になることを明記すると、OC の係数比較が正当化される。(2) は C=AB が出た後、内積が y2OA2 まで簡約される構造を見抜くと短い。座標成分で追う別解も可能だが、抽象ベクトルのまま進める方が計算量は少ない。
\newpage

冊子PDFで見る京大の一次変換の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 1981年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。