方針
漸化式を積の形だけで見るのではなく、まず各因子が 0 と 1 の間にあることから正値性と単調減少を確認する。差は an−an+1=an/10n と直接出るので、n≧2 では an≦a2=0.9 を使って上から押さえる。(3) は a2 からどれだけ減るかを差の和で評価し、有限和が無限等比和より小さいことを使って厳密な下限 0.89 を出す。
解答
(1)
定義より a2=a1(1−101)=1⋅109=0.9 である。また a3=a2(1−1021)=0.9⋅0.99=0.891 である。
(2)
各 n≧1 について 0<1−10n1<1 である。したがって a1>0 からすべての an は正であり、しかも数列 an は単調に減少する。特に n≧2 なら an≦a2=0.9 である。
また漸化式から an−an+1=an−an(1−10n1)=10nan である。n≧2 では an≦0.9 だから an−an+1≦10n0.9=10n+19 である。
(3) n=1 では a1=1>0.89、n=2 では a2=0.9>0.89 である。 n≧3 とする。(2) の差の評価を足し合わせるとa2−an=(a2−a3)+(a3−a4)+⋯+(an−1−an)≦k=2∑n−110k+19である。右辺は有限和なのでk=2∑n−110k+19<k=2∑∞10k+19=1039⋅1−1011=1001である。したがって an>a2−1001=0.9−0.01=0.89 となる。以上より、すべての n に対して an>0.89 が成り立つ。
別解
解法2:積の下界を直接評価する
方針
一般項を有限個の因子の積で表す。最初の因子 0.9 を分け、残りには
(1−x2)⋯(1−xm)≧1−(x2+⋯+xm) を使うと
0.89 の下界が直接出る。
差の評価も有限積から確認する。
解答
(1) a2=1(1−101)=0.9,a3=0.9(1−1001)=0.891.(2)
n≧2 ではan=0.9(1−1021)(1−1031)⋯(1−10n−11)≦0.9.またan−an+1=10nan≦10n+19.(3)
0≦xk≦1 に対する(1−x2)(1−x3)⋯(1−xm)≧1−(x2+x3+⋯+xm)は展開または帰納法で分かる。したがって n≧2 ならan≧0.9(1−k=2∑n−110k1)>0.9(1−k=2∑∞10k1)=0.9(1−901)=0.89.a1=1 も同じ不等式を満たす。
総評
難度4、計算量4。漸化式の積の形から単調性と差の形を読み取り、最後は減少量の総和を等比級数で押さえる問題である。想定時間は18分程度。(2) の an≦0.9 は n≧2 でしか使えない点、(3) では有限和が無限和より小さいため厳密に > になる点が採点上の注意点である。小数値だけで押し切らず、差の評価を式として残すと答案が安定する。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。
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出典: 九州大学 1990年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。