Evolton

上智大学 2023年度 学部学科試験・共通テスト併用方式理工学部数学 第2問

{xx>0} を定義域とする関数 f(x) の集合 A に対して以下の3つの条件を考える。

(P) 関数 f(x)g(x) が共に A の要素ならば,関数 f(x)+g(x)A の要素である。

(Q) 関数 f(x)g(x) が共に A の要素ならば,関数 f(x)g(x)A の要素である。

(R) α が0でない定数で関数 f(x)A の要素ならば,関数 αf(x)A の要素である。

A を次の(i)〜(iv)の集合とするとき,条件(P),(Q),(R)のうち成り立つものをすべて解答欄に記せ。ただし,成り立つものが一つもないときには,解答欄のzを記せ。

(i) f(1)=0 を満たす関数 f(x) 全体の集合

(ii) f(a)=0 となる正の実数 a が存在する関数 f(x) 全体の集合

(iii) 全ての正の実数 x に対して f(x)>0 が成り立つ関数 f(x) 全体の集合

(iv) 定義域 {xx>0} のどこかで連続でない関数 f(x) 全体の集合

難易度5/ 10計算量3/ 10目安14

関数論証・証明 必要十分条件、反例構成、場合分け

方針

各集合が加法・乗法・定数倍で閉じるかを定義に従って判定する。成り立たないものは具体的な反例を一つ示す。
(i) は一点で0になる条件なので,その点での値が演算後どうなるかを見る。
(ii) は零点がある条件なので,零点を別々に持つ関数の和で零点が消える例を作る。
(iii) は正値性なので,加法・乗法は保たれるが,負の定数倍で壊れる。
(iv) は不連続性の集合なので,和や積が連続になってしまう例を挙げ,定数倍は不連続性を保つことを確かめる。

解答

(i) Af(1)=0 を満たす関数全体である。

(P) について,f(1)=0, g(1)=0 なら(f+g)(1)=f(1)+g(1)=0+0=0より,f+gA の要素である。

(Q) について,(fg)(1)=f(1)g(1)=00=0より,fgA の要素である。

(R) について,α0 とすると(αf)(1)=αf(1)=α0=0より,αfA の要素である。

したがって (i) では P,Q,R が成り立つ。

(ii) A は「ある正の実数 af(a)=0 となる」関数全体である。

(P) は成り立たない。たとえば f(x)=x1g(x)=2x とすると,それぞれ x=1x=2 で0となるので,ともに A の要素である。しかし
(f+g)(x)=1
となり,正の実数の範囲で0にならないから A の要素でない。

(Q) は成り立つ。f(a)=0 なら(fg)(a)=f(a)g(a)=0g(a)=0であり,fg も少なくとも x=a で0となる。

(R) も成り立つ。f(a)=0 なら(αf)(a)=αf(a)=α0=0より,αfA の要素である。

したがって (ii) では Q,R が成り立つ。

(iii) A は全ての正の実数 x に対して f(x)>0 を満たす関数全体である。

(P) について,f(x)>0,g(x)>0 なら,任意の正の実数 x
(f+g)(x)=f(x)+g(x)>0
だから,f+gA である。

(Q) についても,
(fg)(x)=f(x)g(x)>0
より,fgA である。

(R) については,α<0 のとき (αf)(x)<0 となり A に入らない。したがって,0でない定数倍全体では閉じていない。

よって (iii) では P,Q が成り立つ。

(iv) A は,定義域 {xx>0} のどこかで連続でない関数全体である。

(R) は成り立つ。f がある点 c>0 で不連続なら,α0 に対し αf も同じ点 c で不連続である。実際,αf が連続なら f=(1/α)(αf) も連続になってしまい矛盾する。

(P) は成り立たない。たとえばf(x)={1(xQ)0(xQ),g(x)={0(xQ)1(xQ)とすると,どちらもどこでも不連続である。しかし f+g1 は連続なので A に入らない。

(Q) も成り立たない。上の f,g では fg0 となり,これも連続であるから A に入らない。

したがって (iv) では R のみが成り立つ。

冊子PDFで見る上智大学の関数の問題で問題集を作る

出典: 上智大学 2023年度 理工系数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。