Evolton

東北大学 2024年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第4問

nを正の整数とする。2つの整数an, bnを条件(1+2)n=an+bn2により定める。ここで,2は無理数なので,
このような整数の組(an, bn)はただ1つに定まる。

(1) an+1, bn+1をan, bnを用いてそれぞれ表せ。
さらに,b4, b5, b6の値をそれぞれ求めよ。

(2) 等式(1−2)n=an−bn2が成り立つことを数学的帰納法を用いて表せ。

(3) n≧2のとき,bn+1bn−1−bn2を求めよ。

(4) pb6−qb5=1,0≦p≦100,0≦q≦100を
すべて満たす整数p, qの組(p, q)を1組求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20分

数列、整数 漸化式の変形、数学的帰納法、ユークリッドの互除法、式変形

方針

(1) は(1+2)n+1=(an+bn2)(1+2)を展開して係数比較する。数値は漸化式で順に出す。(2)は共役な形が同じ漸化式を満たすことを帰納法で示す。(3)は(2)の式と元の式を引いてbnを閉じた形で表し,α=1+2,β=1−2として積を整理する。符号はαβ=−1から決まる。(4)はb5,b6を代入して一次不定方程式70p−29q=1を解き,指定範囲内の1組を出す。

解答

(1)
定義より (1+2)n=an+bn2 である。両辺に1+2をかけると (1+2)n+1=(an+bn2)(1+2) である。右辺を展開して (an+2bn)+(an+bn)2 となるから,係数比較により an+1=an+2bn,bn+1=an+bn である。

n=1では 1+2=a1+b12 よりa1=1,b1=1である。漸化式を用いるとn123456an137174199bn125122970である。したがって b4=12,b5=29,b6=70 である。

(2)
数学的帰納法で示す。n=1のときは 1−2=a1−b12 であるから成り立つ。

n=kで (1−2)k=ak−bk2 が成り立つと仮定する。この両辺に1−2をかけると (1−2)k+1=(ak−bk2)(1−2) である。右辺は (ak+2bk)−(ak+bk)2 となる。(1)より ak+1=ak+2bk,bk+1=ak+bk なので,(1−2)k+1=ak+1−bk+12 である。よってn=k+1でも成り立つ。以上より,すべての正の整数nについて (1−2)n=an−bn2 が成り立つ。

(3) α=1+2,β=1−2 とおく。(2)と定義式を引くと αn−βn=2bn2 であるから,bn=αn−βn22 である。したがってbn+1bn−1−bn2=(αn+1−βn+1)(αn−1−βn−1)−(αn−βn)28である。分子を整理すると,α2nとβ2nが打ち消し合い,−αn+1βn−1−βn+1αn−1+2αnβn となる。ここで αβ=(1+2)(1−2)=−1 であり,また α2+β2=(α+β)2−2αβ=22−2(−1)=6 である。よって分子は−(αβ)n−1(α2+β2)+2(αβ)n=−6(−1)n−1+2(−1)n=8(−1)nである。したがって bn+1bn−1−bn2=(−1)n である。

(4)
(1)よりb6=70,b5=29であるから,求める条件は 70p−29q=1 である。ユークリッドの互除法を用いると70=2⋅29+12,29=2⋅12+5,12=2⋅5+2,5=2⋅2+1である。これを逆にたどると1=5−2⋅2=5−2(12−2⋅5)=5⋅5−2⋅12=5(29−2⋅12)−2⋅12=5⋅29−12⋅12=5⋅29−12(70−2⋅29)=29⋅29−12⋅70である。これは 70(−12)−29(−29)=1 を与える。p,qをともに0以上にするため,70p−29q=1の一般解を考えると p=−12+29k,q=−29+70k である。k=1とすれば p=17,q=41 となり,これは0≦p≦100,0≦q≦100を満たす。したがって,例えば (p,q)=(17,41) でよい。

別解

別解(bn の漸化式と行列式型不変量)

方針

(1) の2本の漸化式から an を消去して bn+2=2bn+1+bn を得る。隣接3項で作る Dn=bn+1bn−1−bn2 が符号反転することを示す。(4)では D5=−1 をそのままベズー型の等式へ使う。

解答

(1) 係数比較からan+1=an+2bn,bn+1=an+bnであり、b4=12,b5=29,b6=70 となる。

(2) 共役な式はこの漸化式を保つので、数学的帰納法により (1−2)n=an−bn2 も成り立つ。

(3) an=bn+1−bn を an+1=an+2bn に代入するとbn+2=2bn+1+bnを得る。Dn=bn+1bn−1−bn2 とおく。bn+1=2bn+bn−1 からDn=bn+12−2bnbn+1−bn2.一方、Dn+1=bn+2bn−bn+12=(2bn+1+bn)bn−bn+12=−Dn.D2=b3b1−b22=5−4=1 なので Dn=(−1)n である。

(4) n=5 とすればb6b4−b52=−1,すなわちb52−b6b4=1.したがって 70(−12)−29(−29)=1 がまず得られる。一般解はp=−12+29k,q=−29+70kであり、k=1 とすれば (p,q)=(17,41) となる。これは指定範囲を満たす。

総評

【公式出題意図・講評との対応】 数学的帰納法と一次不定方程式の理解を問う問題である。公式講評では(1)は比較的良好、(2)で帰納法を正しく使えない答案が多く、(3)の完答は少なかった。さらに(4)を(3)から解いた答案は非常に少なかったとされる。本解説は共役数による標準解に加え、D5=−1 が(4)のベズー等式を直接与える別解を独立表示した。

難度6、計算量5、想定時間20分。符号 (−1)n は (1+2)(1−2)=−1 に由来する。帰納法では初期値、仮定、k+1 の3段階を省略しない。

【独立検算】 (an,bn)=(1,1),(3,2),(7,5),(17,12),(41,29),(99,70) を再生成し、bn+1bn−1−bn2=(−1)n を n=2 から 8 まで確認した。70⋅17−29⋅41=1 も確認済みである。

冊子PDFで見る東北大の数列の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 令和6年度一般選抜(前期日程)数学(公式出題意図・講評照合)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。