方針
(1) は帰納法の帰納段階がすべての で成立していないことを指摘する。特に から 個の場合へ進むとき、共通部分 が空になり、 と を結びつける石が存在しない。(2)は20円から24円までを具体的に作り、そこから5円切手を1枚足すことで5ずつ上の金額を作れることを示す。これは5つの初期値をもつ帰納法である。
解答
(1)
A君の証明では、 個の集合 から2つの碁石 を取り除き、残りを としている。そして がどちらも1種類の石しか含まないことから、 と が同じ種類だと結論している。
この議論が成り立つには、 の中に少なくとも1つ碁石があり、その石を介して と が同じ種類だと言える必要がある。しかし、 から の場合を示す段階では、 は2個の碁石からなる集合であり、そこから を取り除くと である。空集合には や と比べるための碁石がない。
したがって「 に含まれる碁石と は同じ種類である」「 に含まれる碁石と は同じ種類である」という部分が、 が空の場合には意味をもたない。よって帰納法の から への段階が証明されておらず、数学的帰納法の適用が誤っている。
(2)
まず20円から24円までを5円切手と6円切手で作る。 であり、 である。したがって20円、21円、22円、23円、24円はすべて作れる。
次に、ある金額 が5円切手と6円切手の組合せで作れるなら、そこに5円切手を1枚加えることで 円も作れる。したがって、20円が作れるので25円、30円、35円、 が作れる。同様に21円から26円、31円、 が作れ、22円、23円、24円からもそれぞれ5ずつ大きい金額がすべて作れる。
20以上の任意の整数は、20、21、22、23、24のいずれかに5の倍数を加えた形に書ける。よって20円以上の任意の値段分の切手は、5円切手と6円切手の組合せとして買える。
別解
解法2(失敗する基底段階と強い帰納法)
方針
(1) は帰納段階で2集合の共通部分が空になる最初の箇所を特定する。
(2)は20から24までの連続5整数を基礎にした強い帰納法で示す。
解答
(1)
から へ進む段階では、
から を除いた は空集合である。
と がそれぞれ1種類でも、
両集合に共通の碁石がないため、 が同種とは結論できない。
従って帰納段階が最初の一歩で成立していない。
(2) 従って20から24までは作れる。 とし、
までのすべての20以上の整数が作れると仮定する。
なので は作れ、そこへ5円切手を1枚加えれば
も作れる。強い帰納法により20円以上のすべてが作れる。
総評
難度は10段階中4、計算量は10段階中3。目安は12分。(1)は「帰納法が間違っている」とだけ書くのではなく、どの段階で破綻するかを具体的に示す必要がある。破綻点は を示すときに共通部分が空になること。(2)は20から24の5つの初期値を作り、以後は5円切手を足して進める。通常の1つの初期値ではなく、5つの剰余類をまとめて扱う帰納法だと理解するとよい。