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名古屋大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

頂点a,b,c,dの正四面体がある.次の各問に答えよ.

(1) Qは,ある頂点から他の頂点に移動し,
どの観測時刻においてもこれらの頂点のいずれかに存在している.
Qが頂点dに存在する確率が14という仮説をたてた.
この仮説の正しさを調べるために,Qの位置を異なる時刻で10回観測したところ,
そのうち6回頂点dに存在した.
この仮説の正しさを有意水準5%で検定せよ.

(2) Rは,頂点aから出発し,1分毎に他の頂点へ等しい確率で進むものとする.
n分後にRが頂点a,b,c,dに達する確率を
それぞれPa(n)Pb(n)Pc(n)Pd(n)とする.

(ア) Pa(5)を求めよ.

(イ) 任意のnに対して,Pb(n)=Pc(n)であることを証明せよ.

(ウ) Pd(n)を求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

確率数列、データの分析 数え上げ状態分類漸化式の変形

方針

(1) は仮説が正しいとしたとき,10回中6回以上頂点dにいる確率を二項分布で計算し,有意水準5%と比較する。
(2)は対称性を使う。頂点aにいる確率Pa(n)だけをまず漸化式で求めると,残り3頂点の確率は等しい。Pa(n+1)=(1Pa(n))/3を解き,Pd(n)もそこから出す。

解答

(1)

仮説が正しいなら,各観測でQが頂点dにいる確率は1/4である。10回の観測で頂点dにいる回数をXとすると,Xは成功確率1/4,試行回数10の二項分布に従う。

観測された値は6回である。仮説のもとで6回以上となる確率はP(X6)=j=61010Cj(14)j(34)10jである。計算すると P(X6)=10343524288=0.0197 である。これは0.05より小さい。

したがって,この観測結果は仮説のもとでは起こりにくい。よって有意水準5%で,Qが頂点dに存在する確率が1/4であるという仮説は棄却される。

(2)

(ア) Rは1分ごとに現在いる頂点以外の3頂点へ等確率で移る。頂点aにいる確率をpn=Pa(n)とおく。n+1分後にaにいるには,n分後にa以外にいて,そこからaへ移ればよい。したがって pn+1=1pn3 である。初期値はp0=1である。 pn+11/4=(pn1/4)/3なので pn=14+34(13)n である。したがってPa(5)=14+34(13)5=141324=2081である。

(イ)

頂点bと頂点cは,出発点aおよび移動規則に対して完全に対称である。より具体的には,bcの名前を入れ替えても,出発点も移動の確率も変わらない。したがって任意のnについて,頂点bにいる場合と頂点cにいる場合は同じ確率で起こる。

よって Pb(n)=Pc(n) である。

(ウ)

同じ対称性により,頂点a以外の3頂点b,c,dにいる確率は等しい。したがって Pd(n)=1Pa(n)3 である。(ア)の結果を代入してPd(n)=1{14+34(13)n}3=1414(13)nである。

別解

解法2

方針

(1) は二項分布の上側確率を正確に計算する。(2)は長さ n の移動経路を数え、完全グラフの対称性から2種類の経路数の漸化式を解く。

解答

(1)
仮説のもとで、10回中頂点 d にいた回数を X とすればXB(10,14).観測値6以上の確率はPr(X6)=j=61010Cj(14)j(34)10j=10343524288=0.0197<0.05.よって有意水準5%で仮説を棄却する。

(2)
頂点 a から出発する長さ n の経路は全部で 3n 本である。
a に終わる経路数を Un、特定の他頂点、例えば d に終わる経路数を
Vn とする。対称性により他の3頂点への経路数はすべて VnUn+3Vn=3n.次の1歩で a へ来るのは他頂点からだけなのでUn+1=3Vn.また d へ来るのは d 以外からなのでVn+1=Un+2Vn.差を取るとUn+1Vn+1=(UnVn).(U0,V0)=(1,0) より UnVn=(1)n。和との連立からUn=3n+3(1)n4,Vn=3n(1)n4.したがってPa(5)=U535=2081.頂点 b,c は対称なので Pb(n)=Pc(n) であり、Pd(n)=Vn3n=1414(13)n.

総評

難度は7、計算量は6。二項分布の上側確率と、全経路数 3n による遷移確率を全列挙で照合した。 2解法の結論を照合し、定義域、端点、必要十分性、等号条件を再確認した。 図は論証を補助するものに限定し、縮尺に依存しない式も併記している。

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出典: 名古屋大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。