方針
(1) は仮説が正しいとしたとき,10回中回以上頂点にいる確率を二項分布で計算し,有意水準と比較する。
(2)は対称性を使う。頂点にいる確率だけをまず漸化式で求めると,残り3頂点の確率は等しい。を解き,もそこから出す。
解答
(1)
仮説が正しいなら,各観測でが頂点にいる確率はである。10回の観測で頂点にいる回数をとすると,は成功確率,試行回数の二項分布に従う。
観測された値は回である。仮説のもとで回以上となる確率はである。計算すると である。これはより小さい。
したがって,この観測結果は仮説のもとでは起こりにくい。よって有意水準で,が頂点に存在する確率がであるという仮説は棄却される。
(2)
(ア) は1分ごとに現在いる頂点以外の3頂点へ等確率で移る。頂点にいる確率をとおく。分後ににいるには,分後に以外にいて,そこからへ移ればよい。したがって である。初期値はである。 なので である。したがってである。
(イ)
頂点と頂点は,出発点および移動規則に対して完全に対称である。より具体的には,との名前を入れ替えても,出発点も移動の確率も変わらない。したがって任意のについて,頂点にいる場合と頂点にいる場合は同じ確率で起こる。
よって である。
(ウ)
同じ対称性により,頂点以外の3頂点にいる確率は等しい。したがって である。(ア)の結果を代入してである。
別解
解法2
方針
(1) は二項分布の上側確率を正確に計算する。(2)は長さ の移動経路を数え、完全グラフの対称性から2種類の経路数の漸化式を解く。
解答
(1)
仮説のもとで、10回中頂点 にいた回数を とすれば観測値6以上の確率はよって有意水準5%で仮説を棄却する。
(2)
頂点 から出発する長さ の経路は全部で 本である。
に終わる経路数を 、特定の他頂点、例えば に終わる経路数を
とする。対称性により他の3頂点への経路数はすべて で次の1歩で へ来るのは他頂点からだけなのでまた へ来るのは 以外からなので差を取ると より 。和との連立からしたがって頂点 は対称なので であり、
総評
難度は7、計算量は6。二項分布の上側確率と、全経路数 による遷移確率を全列挙で照合した。 2解法の結論を照合し、定義域、端点、必要十分性、等号条件を再確認した。 図は論証を補助するものに限定し、縮尺に依存しない式も併記している。