Evolton

名古屋大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第3問

knを正整数とする.I(k,n)I(k,n)=01x2kcosnπxdxで与えられる定積分の値とするとき,次の問に答えよ.

(1) I(1,n)を求めよ.

(2) I(k,n)I(k1,n)で表せ.これを利用してI(k,n)I(k,n)=i=1k(1)n+i1(2k)!(nπ)2i(2k2i+1)!となることを示せ.

(3) 積分J=01(A0+A1cosπxx2k)2dxを最小にする
定数A0A1の値を求めよ.また,そのときの最小値Jminを求めよ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

積分三角関数 部分積分、漸化式の変形定積分評価

方針

(1) (2)はc=nπとおき,部分積分を2回行う。境界でsinc=0cosc=(1)nとなることを使い,I(k,n)I(k1,n)で表す。
閉じた形は漸化式を繰り返して得る。符号と階乗の落ち方を明確にするため,最初の数項を意識して一般項を書く。(3)はJA0,A1について平方完成する。1cosπxの積分が0であることを使い,係数を独立に決める。

解答

(1) c=nπとおく。まずI(1,n)=01x2coscxdxである。部分積分によりI(1,n)=[x2sincxc]012c01xsincxdx=2c01xsincxdxである。さらに01xsincxdx=[xcoscxc]01+1c01coscxdx=(1)ncである。したがって I(1,n)=2(1)n(nπ)2 である。

(2)

同じくc=nπとおく。部分積分によりI(k,n)=01x2kcoscxdx=[x2ksincxc]012kc01x2k1sincxdxである。sinc=0なのでI(k,n)=2kc01x2k1sincxdxである。

さらに01x2k1sincxdx=[x2k1coscxc]01+2k1c01x2k2coscxdxであり,cosc=(1)nより01x2k1sincxdx=(1)nc+2k1cI(k1,n)である。したがってI(k,n)=2k(1)n(nπ)22k(2k1)(nπ)2I(k1,n)を得る。

この漸化式を繰り返すとI(k,n)=2k(1)n(nπ)22k(2k1)(nπ)22(k1)(1)n(nπ)2+となる。第i項では,分子に (2k)(2k1)(2k2i+2) が現れ,最後に2k2i+2に対応する項から2k2i+2)(1)nが入る。整理するとI(k,n)=i=1k(1)n+i1(2k)!(nπ)2i(2k2i+1)!である。

(3) Jを展開する。まず01cosπxdx=0,01cos2πxdx=12であり,また01x2kdx=12k+1,01x2kcosπxdx=I(k,1)である。よってJ=01x4kdx+A02+12A122A001x2kdx2A1I(k,1)である。すなわち J=14k+1+A022A02k+1+12A122A1I(k,1) である。

平方完成するとJ=14k+11(2k+1)22{I(k,1)}2+(A012k+1)2+12(A12I(k,1))2である。したがってJを最小にするのは A0=12k+1,A1=2I(k,1) のときであり,その最小値は Jmin=14k+11(2k+1)22{I(k,1)}2 である。

別解

解法2

方針

(1) (2)は漸化式を帰納法で検証する。(3)は関数 x2k を互いに直交する 1,cosπx の方向へ射影する問題として係数と誤差を求める。

解答

(1)
2回の部分積分からI(1,n)=2(1)n(nπ)2.(2)
同じ部分積分を一般の k に行うとI(k,n)=2k(1)n(nπ)22k(2k1)(nπ)2I(k1,n).ここでI(k,n)=i=1k(1)n+i1(2k)!(nπ)2i(2k2i+1)!k について帰納法で示す。k=1 は (1) で成立する。
k1 で成立すると仮定して漸化式へ代入すると、第1項が和の i=1
残りは添字を1つずらした i=2,,k となるため、上式が k でも成立する。

(3)
区間 [0,1]011cosπxdx=0だから、1cosπx は直交している。さらにそれぞれの長さの2乗は011dx=1,01cos2πxdx=12.したがって x2k のこの2方向への射影係数はA0=01x2kdx1=12k+1,A1=01x2kcosπxdx1/2=2I(k,1).射影後の誤差の長さの2乗は、元の長さの2乗から2つの射影成分の長さの
2乗を引けばよい。よってJmin=14k+11(2k+1)22{I(k,1)}2.これは平方完成による結果とも一致する。

総評

難度は7、計算量は7。2回の部分積分の符号、階乗添字、帰納法、直交射影の係数を照合した。 2解法の結論を照合し、定義域、端点、必要十分性、等号条件を再確認した。 図は論証を補助するものに限定し、縮尺に依存しない式も併記している。

冊子PDFで見る名大の積分の問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。