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名古屋大学 2017年度
理系数学 第2問

問題

下図のような立方体を考える。この立方体の8つの頂点上を点 が次の規則で移動する。

時刻0では点 は頂点 にいる。時刻が1増えるごとに、点 は、今いる頂点と辺で結ばれている頂点へ等確率で移動する。例えば、時刻 で点 が頂点 にいるとすると、時刻 では、それぞれ の確率で頂点 のいずれかにいる。

名古屋大学 2017年度 第2問の図1

自然数 に対して、次の確率を定める。

(i) 点 が時刻 までの間に一度も頂点 に戻らず、かつ時刻 で頂点 のいずれかにいる確率を とする。

(ii) 点 が時刻 までの間に一度も頂点 に戻らず、かつ時刻 で頂点 のいずれかにいる確率を とする。

(iii) 点 が時刻 までの間に一度も頂点 に戻らず、かつ時刻 で頂点 にいる確率を とする。

このとき、次の問いに答えよ。

(1) および を求めよ。

(2) のとき、 を求めよ。

(3) 自然数 に対して、点 が時刻 で頂点 に初めて戻る確率 を求めよ。

(4) 自然数 に対して、点 が時刻 で頂点 に戻るのがちょうど2回目となる確率を とする。このとき、 となる をすべて求めよ。

出典:名古屋大学 2017年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第2問

方針

解法1

(1)から(3)までは文系第2問と同じく,頂点をからの距離1,距離2,距離3の3状態にまとめ,へ戻らない確率の漸化式を立てる。偶奇で状態が分かれるためから一般項を得る。(4)では,2回目の帰還が時刻で起こる事象を,初帰還時刻と,その後の初帰還時刻に分解する。したがっての畳み込みになり,を個別に処理したあと,で不等式を比較する。

解法2

2歩を1ブロックとして非帰還経路を直接数える。距離2の群 から2歩後にも にいる非帰還経路は9通り中7通りなので、確率漸化式を解かず一般項が得られる。(4)は最初の帰還時刻で事象を分割し、初帰還確率の積を足す。端の と等比型の中央項を分ける。

解答

解法1

(1)

頂点から辺の本数で距離1の頂点の群を,距離2の頂点の群を,距離3の頂点の群をと呼ぶ。

時刻1では必ずにいるので である。の各頂点からは,1本がへ,2本がへ向かう。へ戻る場合はには含めないので である。 の各頂点からは2本がへ,1本がへ向かうから である。

(2)

へ戻らない道だけを追うと,遷移は

である。したがって

である。 より,について である。偶数時刻にはにはいないので である。

また

であり,である。よって

を得る。

(3)

時刻で初めてに戻るには,時刻までに戻らず,その時刻ににいて,次の1歩でへ進めばよい。からへ進む確率はである。

したがって であり,では である。

(4)

時刻に戻るのがちょうど2回目であるためには,ある について,時刻に初めてに戻り,そこからさらに後に初めてに戻ればよい。に戻った後は同じ条件で再出発するので である。

まず であり, だからである。また であり, だからである。

次にとする。と, を用いると,端の2項と中央の項に分けて である。よって

となり,整理して である。一方

である。したがって すなわち と同値である。これは を意味するので,では成り立たない。

以上より,求める である。

解法2

頂点を からの距離でまとめ、距離1、2、3の頂点群を とする。

(1)

最初の1歩で必ず に入る。 からは3本中2本が 、1本が へ向かうから

さらに からは3本中2本が 、1本が へ向かうので

(2)

から2歩進み、途中で を通らず再び に入る経路は

通りと、

通り、計7通りである。よって

偶数時刻には にいない。また からの次の1歩を数えると

(3)

初帰還の直前には におり、最後に確率 へ進む。したがって

(4)

最初の帰還が時刻 、そこから次の初帰還までが である事象へ分けると

まず

また

では両端と中央の項を分けて

一方

したがって

と同値で、 では成立しない。よって

である。