方針
(1) は任意の元とその逆数の積からを作り,条件(II)でを得る。(2)は写像で元が2個ずつ組になることを使う。(3)(4)では,以外の元を取り,がすべて有限集合に入ることから,ある正整数でとなることを使う。では残り2元しかないので。では最小のが3,4,5,6のどれかに限られ,を矛盾で除いて,結局6乗して1になる複素数全体に定まることを示す。
解答
(1) の要素を1つとる。条件(II)よりもの要素である。条件(III)より,これらの積 はの要素である。さらに条件(II)をに適用すると もの要素である。
(2)
条件(II)より,の任意の要素に対してもの要素である。しかもならであるが,の要素は0でないので,とは必ず異なる。
したがっての要素は という2個ずつの組に分けられる。よって要素数は偶数である。
(3) とする。(1)よりである。残りの要素の1つをとすると,(2)よりも要素であり, と書ける。
条件(II)よりである。なので,はまたはのどちらかである。もしなら よりとなり矛盾する。したがって であり, を得る。よってであり,集合としては一通りに と定まる。
(4) とする。以外の要素を1つ取り,それをとする。条件(III)より はすべての要素である。は有限集合なので,この列には同じ値が現れる。したがって,ある正の整数について となる。以下,そのようなのうち最小のものを考える。よりであり,または互いに異なるのでである。したがって のいずれかである。 は不可能である。このときであり,の4要素がすでにある。残りの要素の1つをとすると,も要素であり, である。ところがである。なら,なら,ならとなり,いずれもの取り方またはに反する。よって矛盾する。 も不可能である。は5個の異なる要素であり,さらにもに入る。これだけで6個である。しかしもに入る。もし が のいずれかに等しいなら、右辺の5乗は1である。一方であり、矛盾する。したがって はこれら5個とも とも異なる新しい要素となり、要素数が6を超えてしまう。
よってまたはである。 のとき,が3個の異なる要素であり,さらにそれらの負の数 もに入る。これで6個あり,は である。ここでは1でない3乗根だから,これらは6乗して1になる複素数全体である。 のとき,が6個の異なる要素なので,はこの6個である。またで,だからである。したがって,この場合もは6乗して1になる複素数全体である。
以上より,のときは一通りに定まり,その要素はである。
別解
解法2
方針
任意の に対し、写像 が有限集合 の要素を並べ替えることを利用する。全要素の積を写像の前後で比較すると が得られる。よって は 乗して1になる複素数全体に一致し、 の集合を一度に決定できる。
解答
(1)
任意の に対して であり、積について閉じているからさらに条件 を に適用して(2)
なら である。 なら となるが、 の要素は0でない。よって要素は という2個ずつの組に分かれ、 は偶数である。
(3) (4)を同時に考える。
の要素をとし、その積を とおく。すべての要素は0でないため である。
を固定する。条件 より、各 に対して である。またなら より である。したがっては の全要素を並べ替えたものである。
両者の全要素を掛け合わせると左辺は だから よりこれはすべての に成り立つ。方程式 の解は相異なる 個であり、 も 個の要素をもつから、 は 乗して1になる複素数全体である。
(3)
のとき(4)
のときいずれも集合として一通りに定まる。
総評
難度7,計算量5。目安時間は24分。抽象的に見えるが,使う事実は「積を繰り返しても集合内に残る」「有限集合なので同じ値が現れる」の2つである。群論の用語に頼らず,となる最小のを場合分けすれば十分に書ける。ではを除く論証が薄くなりやすいので,余った要素やが新要素になる矛盾を丁寧に示すことが得点差になる。