Evolton

名古屋大学 2017年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

xyz 空間の2点A(0,0,2),P(a,b,0)を通る直線を l とする。また、点 (2,0,0) を中心とし、半径が 2 である球面を S で表し、S のうち z>0 を満たす部分を T とする。このとき、次の問いに答えよ。

(1) l 上に点 Q がある。実数 tAQ=tAPで定めるとき、点 Q の座標を a,b,t を用いて表せ。

(2) lS と相異なる2点で交わるような実数 a,b に関する条件を求め、ab 平面上に図示せよ。

(3) lT と相異なる2点で交わるような実数 a,b に関する条件を求め、ab 平面上に図示せよ。

難易度6/ 10計算量6/ 10目安24

ベクトル図形と方程式 座標設定ベクトル成分計算判別式、範囲評価

方針

直線l上の点をQ=A+t(PA)と表し,球面の方程式へ代入してtの2次方程式を作る。球面Sと相異なる2点で交わる条件は,この2次方程式の判別式が正であること。(3)ではTz>0の部分なので,交点に対応する2つの根がともにt<1でなければならない。判別式正に加え,h(1)>0と根の和<2を用いて,2根がともに1より小さい条件へ落とす。

解答

(1) AP=(a,b,2) である。AQ=tAPだから Q=A+t(PA)=(0,0,2)+t(a,b,2) である。したがって点Qの座標は (at,bt,22t) である。

(2)
球面Sの方程式は (x2)2+y2+z2=2 である。(1)のQ=(at,bt,22t)を代入すると (at2)2+(bt)2+(22t)2=2 である。整理して (a2+b2+4)t2(4a+8)t+6=0 を得る。

直線lが球面Sと相異なる2点で交わるための条件は,このtの2次方程式が相異なる2つの実数解をもつことである。したがって判別式が正であり,(4a+8)224(a2+b2+4)>0 である。これを整理すると (a4)2+3b2<12 となる。よってab平面上では,中心(4,0)の楕円 (a4)212+b24<1 の内部である。

別解。球面の中心をC=(2,0,0)とする。直線上の点Q(t)=(at,bt,22t)Cの距離の2乗は (at2)2+(bt)2+(22t)2 であり,これがtについて最小になる値が半径の2乗2より小さいとき,直線は球面と相異なる2点で交わる。この最小値条件を計算しても,同じく (a4)2+3b2<12 を得る。

(3) TSのうちz>0の部分である。(1)の表示では z=22t なので,T上の交点に対応するtt<1 を満たす必要がある。

(2) で得た2次方程式を h(t)=(a2+b2+4)t2(4a+8)t+6 とおく。まず相異なる2点で球面と交わるために (a4)2+3b2<12 が必要である。さらに,その2つの根がともに1より小さくなればよい。

上に開く2次関数で,2つの実根をもつとき,2根がともに1より小さいためには,h(1)>0であり,かつ2根の和が<2であればよい。まず h(1)=a2+b2+4(4a+8)+6=(a2)2+b22 より (a2)2+b2>2 である。次に2根の和は 4a+8a2+b2+4 であるから,これが<2である条件は 4a+8<2(a2+b2+4) すなわち (a1)2+b2>1 である。

したがって求める条件は (a4)2+3b2<12,(a2)2+b2>2,(a1)2+b2>1 である。図示すると,楕円 (a4)2+3b2<12 の内部から,円 (a2)2+b22 および円 (a1)2+b21 に含まれる部分を除いた領域である。境界は,楕円側は含まず,2つの円周側もz=0または根の位置が端になるため含まない。

別解

解法2

方針

球の中心 C から直線 l までの距離を、Q(t)C の距離の2乗の最小値として求める。(2)は最小距離が半径より小さい条件。(3)は交点を与える2根の中点と右側の根の位置に着目し、頂点が t=1 より左にあり、かつ h(1)>0 となる条件へ変える。楕円と2円の位置関係を図示する。

解答

(1) Q(t)=A+t(PA)=(at,bt,22t).(2)
球の中心を C=(2,0,0) とする。距離の2乗はD(t)=Q(t)C2=(at2)2+b2t2+(22t)2=(a2+b2+4)t2(4a+8)t+8.直線と球面が相異なる2点で交わるのは、D(t) の最小値が半径の2乗 2 より小さいときである。最小値の条件を整理すると(4a+8)2>24(a2+b2+4),すなわち(a4)2+3b2<12.(3)
球面との交点を与える方程式はh(t)=(a2+b2+4)t2(4a+8)t+6=0.T 上では z=22t>0 だから、2根がともに 1 より小さいことが必要十分である。

相異なる2実根をもつ条件のもとで、放物線 y=h(t) の頂点が t=1 より左にあり、かつ h(1)>0 なら、t=1 は2根の右側にある。条件は2a+4a2+b2+4<1,h(1)>0.これらを整理すると(a1)2+b2>1,(a2)2+b2>2.したがって求める領域は{(a4)2+3b2<12,(a2)2+b2>2,(a1)2+b2>1.灰色部分が求める領域であり、3本の境界はいずれも含まない。

総評

難度6,計算量6。目安時間は24分。空間図形だが,直線をtで表して球面へ代入すれば2次方程式の問題になる。(2)では判別式正がそのまま楕円内部を与える。(3)は上半球ではなくz>0の部分なので,t<1という根の位置条件を追加する必要がある。h(1)>0だけでは2根がともに1より大きい可能性も残るため,根の和<2も合わせて確認するのが重要である。

冊子PDFで見る名大のベクトルの問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 2017年度 前期 理系数学 第3問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。