方針
(1) は二項定理で展開し、中間項の係数 pCj が素数 p で割り切れることを示す。(2)は a+2 と a が同じ偶奇であることを使う。(3)は p=2 を先に処理する。奇素数のときは (1) を2度使って p を法とする余りを2と定め、さらに (2) の偶数条件を合わせて 2p での余りを一意に決める。
解答
(1)
二項定理より(a+b)p−ap−bp=j=1∑p−1pCjap−jbj.1≦j≦p−1 とする。係数pCj=j!(p−j)!p!の分子には因子 p が含まれ、分母には含まれない。したがって pCj は p の倍数である。和の各項が p で割り切れるので、題意が従う。
(2)
a+2 と a は同じ偶奇である。整数 m と mp は同じ偶奇をもつので、(a+2)p と ap も同じ偶奇である。よってその差は偶数である。
(3)
p=2 のとき(a+2)2−a2=4(a+1)は 2p=4 で割り切れる。余りは0である。
次に p を奇素数とする。(1) で b=2 とすると(a+2)p−ap≡2p(modp).また (1) で a=b=1 とすると2p≡2(modp).したがって(a+2)p−ap≡2(modp).2p で割った余りを r とする。(2) より r は偶数であり、0≦r<2p,r≡2(modp).候補は 2,p+2 だが、p+2 は奇数なので除かれる。よってr=2.以上から余りは{02(p=2),(p が奇素数)である。
別解
解法2
方針
(1) では pCj=jpp−1Cj−1 を用い、j が p と互いに素であることから係数が p の倍数だと示す。(1)から得られる合同式を繰り返して mp≡m(modp) を導けば、(3)の p を法とする計算を一行で行える。最後は偶奇と中国剰余的な組合せで 2p の余りを決める。
解答
(1)
1≦j≦p−1 に対してpCj=jpp−1Cj−1.左辺と p−1Cj−1 は整数であり、p と j は互いに素である。等式jpCj=pp−1Cj−1から、pCj は p の倍数である。二項展開の中間項はすべて p の倍数となるため(a+b)p≡ap+bp(modp).(2)
2 を法とすると a+2≡a なので(a+2)p−ap≡0(mod2).(3)
(1) で b=1 とすると(m+1)p≡mp+1(modp).これを整数の代表 m=0,1,…,p−1 に順に用いるとmp≡m(modp)を得る。したがって(a+2)p−ap≡(a+2)−a≡2(modp).p が奇数なら、p を法として2、2 を法として0となる 0≦r<2p は r=2 だけである。p=2 は直接計算して余り0となる。よって{02(p=2),(p=2)である。
総評
難度5、目安時間15分。二項係数の整除性、偶奇、合同式を順に組み合わせる問題である。(1)では中間係数が p の倍数である理由を省略しない。(3)は p=2 と奇素数を必ず分け、奇素数では「p を法として2」と「偶数」の2条件を同時に使う。どちらか一方だけでは 2p での余りは決まらない。
冊子PDFで見る名大の整数の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 2018年度 前期日程 数学(理系)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。