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大阪大学 2003年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

平面ベクトルp=(p1,p2)q=(q1,q2)に対して
{p,q}=p1q2p2q1と定める.

(1) 平面ベクトルabcに対して{a,b}=l,{b,c}=m,{c,a}=nとするときlc+ma+nb=0が成り立つことを示せ.

(2) (1)でlmnがすべて正であるとする.
このとき任意の平面ベクトルdは0以上の実数rstを用いてd=ra+sb+tcと表すことができることを示せ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

ベクトル論証・証明 ベクトル成分計算、存在証明、計算整理

方針

(1) は記号 {p,q} が2次元の面積を表す交代的な式であることを踏まえ、まず成分で展開して2成分とも0になることを示す。(2) は l>0 から a,b が平行でないことを使って任意の dxa+yb と表し、(1) の関係式で c を足す量を十分大きくして係数を非負に直す。

解答

(1) a=(a1,a2),b=(b1,b2),c=(c1,c2)とおく。このとき l=a1b2a2b1,m=b1c2b2c1,n=c1a2c2a1 である。

まず第1成分を調べるとlc1+ma1+nb1=(a1b2a2b1)c1+(b1c2b2c1)a1+(c1a2c2a1)b1=a1b2c1a2b1c1+a1b1c2a1b2c1+a2b1c1a1b1c2=0.同様に第2成分はlc2+ma2+nb2=(a1b2a2b1)c2+(b1c2b2c1)a2+(c1a2c2a1)b2=a1b2c2a2b1c2+a2b1c2a2b2c1+a2b2c1a1b2c2=0.したがってlc+ma+nb=0が成り立つ。

(2) l>0 であるから、{a,b}0 であり、a,b は平行でない。よって任意の平面ベクトル d は、ある実数 x,y を用いて d=xa+yb と表せる。

また (1) よりlc+ma+nb=0であり、l>0 だから c=mlanlb である。ここで ml>0nl>0 である。 t を十分大きい0以上の実数に取り、r=x+mlt0,s=y+nlt0 となるようにする。例えば tmax(0,lxm,lyn) とすればよい。このときra+sb+tc=(x+mlt)a+(y+nlt)b+t(mlanlb)=xa+yb=d.したがって、任意の d は0以上の実数 r,s,t を用いてd=ra+sb+tcと表せる。

別解

解法2(交代式と基底で整理する)

方針

(1) では左辺を V と置き、各ベクトルとの交代式が0になることを示す。非平行な2本があればそれらが基底となり、すべて平行なら係数自体が0になる。(2) では a,b を基底にして c の座標を交代式から直接求め、同じ零ベクトル表示を必要なだけ加える。

解答

(1)
求める左辺をV=lc+ma+nbとおく。交代式の双線形性と{a,c}=n,{a,b}=lから{a,V}=l(n)+nl=0である。同様に{b,V}=lmml=0,{c,V}=mnnm=0を得る。

l,m,n の少なくとも1つが0でなければ、その係数に対応する2本のベクトルは平行でない。たとえば l\neqq0 なら a,b は平面の基底であり、両方との交代式が0である V は零ベクトルに限る。m\neqq0n\neqq0 の場合も同じである。すべて0なら各項が0なので、どの場合にもlc+ma+nb=0となる。

(2)
l>0 より a,b は基底である。c=xa+yb と書くとm={b,c}=xl,n={c,a}=ylだからc=mlanlb.任意の dd=x0a+y0bと表す。十分大きい t0 を選びr=x0+mlt0,s=y0+nlt0とすればra+sb+tc=x0a+y0b=d.したがって要求された非負係数表示が常に存在する。

総評

難度7、計算量6。目安時間は18〜24分。採点ポイントは、(1) の成分展開で打ち消しを正確に示すこと、(2) で l>0 から a,b が基準になる2方向だと判断すること、最後に係数を非負にするための t の取り方を明示することです。

誤りやすいのは、(1) の恒等式を図形的な直感だけで済ませてしまうこと、また (2) で x,y が負になる可能性を見落とすことです。ca,b 方向の成分をもつので、tc を足してから a,b の係数を補正する、という構造を答案に出すと論理が明確になります。

第1解法は標準的な答案構成を詳しく示し、第2解法は異なる着眼または計算経路で同じ結論を独立に確認する。図は条件の役割と解法の流れを可視化した。積分・極限・総和は独立行に置き、分数は表示サイズで組版した。

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出典: 大阪大学 2003年度 前期 文系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。