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東北大学 1992年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第2問

a1≧a2≧⋯≧an,
b1≧b2≧⋯≧bn のとき,次の不等式を証明せよ.(∑i=1nai)(∑i=1nbi)≦n∑i=1naibi

難易度5/ 10計算量3/ 10目安12分

論証・証明、方程式・不等式 不等式評価、対称性の利用、式変形

方針

同じ順に並んだ二つの数列では,任意の二つの番号 i,j について (ai−aj)(bi−bj)≧0 が成り立つ。これをすべての i,j について足し合わせると,左辺が目標の不等式そのものに整理される。和の展開では ∑i,jaibi=n∑iaibi と ∑i,jaibj=(∑iai)(∑jbj) を使う。

解答

a1≧a2≧⋯≧an,b1≧b2≧⋯≧bn である。したがって,任意の i,j について,ai−aj と bi−bj は同じ符号をもつか,少なくとも一方が0である。よって (ai−aj)(bi−bj)≧0 である。

これをすべての i,j について足し合わせると ∑i=1n∑j=1n(ai−aj)(bi−bj)≧0 である。左辺を展開すると∑i=1n∑j=1n(ai−aj)(bi−bj)=∑i,jaibi−∑i,jaibj−∑i,jajbi+∑i,jajbj.ここで∑i,jaibi=n∑i=1naibi,∑i,jajbj=n∑i=1naibiであり,また∑i,jaibj=(∑i=1nai)(∑j=1nbj)である。同様に ∑i,jajbi も同じ値である。したがって∑i,j(ai−aj)(bi−bj)=2n∑i=1naibi−2(∑i=1nai)(∑i=1nbi)である。

左辺は0以上だから、両辺を2で割って移項すれば(∑i=1nai)(∑i=1nbi)≦n∑i=1naibiが示される。

別解

解法2

方針

n 個の場合の積の平均と、2つの平均の積との差を考える。
n−1 個から n 個へ増やしたときの差を計算し、単調性によって追加項が非負になることを帰納法で示す。

解答

次をおく。An=1n∑i=1nai,Bn=1n∑i=1nbi,Cn=1n∑i=1naibi−AnBn.示すべき不等式は Cn≧0 と同値である。

n=1 では C1=0 である。n−1 個について Cn−1≧0 と仮定する。
最初の n−1 項の平均を An−1,Bn−1 とすると、直接整理してCn=n−1nCn−1+n−1n2(An−1−an)(Bn−1−bn)を得る。

数列はともに降順だからAn−1≧an,Bn−1≧bn.したがって右辺の2項はともに0以上であり、Cn≧0 である。
帰納法によりすべての n で Cn≧0 が成り立つ。両辺を n2 倍すれば(∑i=1nai)(∑i=1nbi)≦n∑i=1naibiを得る。

総評

同じ向きに並んだ数列の積和を評価する不等式である。目安時間は12分。中心になる発想は,単調性から (ai−aj)(bi−bj)≧0 を作ることである。あとは二重和を丁寧に展開すれば目標式が出る。i,j の二重和で n 倍になる項と,二つの和の積になる項を取り違えないことが採点上の注意点である。 2解法の結論、端点、等号条件を独立に照合し、高校数学の範囲内で完結させた。

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出典: 東北大学 1992年度 後期 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。