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東京大学 1984年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

xy平面上に,海を隔てて2国ABがある.
Aの領土は不等式x2+(y7)24で表される領域であり,
Bの領土は不等式y0で表される領域であるという.

いまAの領海を次の3条件(1),(2),(3)を満たす点P全体の集合と定める:

(1) PABいずれの領土にも含まれない.

(2) PAの領土との間の最短距離は4より小さい.

(3) PAの領土との間の最短距離は,PBの領土との間の最短距離より小さい.

Aの領海の面積を求めよ.

難易度6/ 10計算量7/ 10目安28

図形と方程式積分 軌跡面積計算不等式評価

方針

Aの領土は中心 (0,7)、半径 2 の円板であり、Bの領土は半平面 y0 である。領土外の点では、Bまでの距離は y、Aまでの距離は中心からの距離から 2 を引いたものになる。条件を円環と放物線の上側へ翻訳し、半径 6 の円内で放物線より上の部分から半径 2 の円板を除いて面積を求める。

解答

(1)
Aの領土である円板の中心を OA=(0,7) とする。点 P(x,y) がA、Bのどちらの領土にも含まれないとき、まず y>0 であり、Aの円板の外側にある。
このとき、Bの領土 y0 までの最短距離は y である。またAの領土までの最短距離は x2+(y7)22 である。

(2)
条件(2)より、Aまでの距離が 4 より小さいから x2+(y7)22<4 すなわち x2+(y7)2<6 である。またAの領土外にあるので x2+(y7)2>2 である。したがって、点は中心 (0,7)、半径 26 の間の円環にある。

(3)
条件(3)は x2+(y7)22<y である。右辺は正なので、両辺を移項して平方してよい。これは x2+(y7)2<y+2 と同値であり、平方すると x2+(y7)2<(y+2)2 である。整理して x218y+45<0 となるから y>x218+52 である。

よってAの領海は、中心 (0,7)、半径 6 の円の内部で、放物線 y=x218+52 より上にあり、さらに半径 2 のAの円板を除いた部分である。

半径 6 の円の下側は y=736x2 である。これと放物線の交点は 736x2=x218+52 を解いて x=±33,y=4 である。
したがって、半径 6 の円のうち放物線より下にある部分の面積は3333{x218+52(736x2)}dxである。すなわち3333(x21892+36x2)dxである。この値は 12π153 となる。

半径 6 の円板の面積は 36π、Aの領土である半径 2 の円板の面積は 4π である。したがって求める面積は 36π(12π153)4π=20π+153 である。

外側の円内・放物線の上側から、A の領土を除く

別解

解法2

方針

距離条件から得られる等距離線は放物線である。外側の半径6の円と
放物線の交点を結ぶ弦 y=4 を入れ、除外部分を
「円弧と弦の間の円弓形」から「弦と放物線の間」を引いて求める。
円の部分は扇形と三角形だけで計算できる。

解答

A の円板の中心を O=(0,7) とする。A,B の領土外ではy>0,x2+(y7)2>4である。これが(1)に当たる。またd(P,A)=x2+(y7)22,d(P,B)=y.(2)と(3)はそれぞれx2+(y7)2<36,y>x218+52となる。よって、半径6の円板から A の半径2の円板と、
放物線より下にある部分を除けばよい。

x2+(y7)2=36と放物線の交点は(±33,4)である。この2点を結ぶ弦は中心から3だけ離れている。中心から弦へ垂線を下ろし、その垂線と半径のなす角を ψ とするとcosψ=36=12,0<ψ<π2であるから ψ=π/3 である。したがって下側の円弧に対する中心角は 2ψ=2π/3 であり、弦より下の円弓形の面積は12622π31262sin2π3=12π93.一方、弦 y=4 と放物線の間の面積は3333{4(x218+52)}dx=3333(32x218)dx=63.ゆえに、円内で放物線より下にある除外部分は(12π93)63=12π153.求める領海の面積は36π4π(12π153)=20π+153.

総評

距離条件を領域へ翻訳して面積を求める問題。目安時間は28分。Aまでの距離は中心までの距離ではなく、円板の半径 2 を引いたものになる。条件(3) は放物線の上側という形に変わる。最後は半径 6 の円板から、放物線より下の部分とAの円板を引く構成にすると整理しやすい。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。

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出典: 東京大学 1984年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。