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東京大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

xyz空間において,
(0,0,0)A,点(8,0,0)B,点(6,23,0)Cとする.
PABCの辺上を一周するとき,
Pを中心とし半径1の球が通過する点全体のつくる立体をKとする.

(1) Kを平面z=0で切った切り口の面積を求めよ.

(2) Kの体積を求めよ.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安35

図形と方程式積分 面積計算体積計算図形的解釈

方針

高さ z の断面を三角形の周から距離 1z2 以内の帯として求め、内側に残る相似三角形を差し引いて積分する。

解答

三角形の辺の長さを求める。AB=8,BC=(86)2+(023)2=4,CA=62+(23)2=43である。したがって周の長さを L とすると L=12+43 である。また三角形の面積を T とすると,底辺 AB=8,高さ 23 より T=12823=83 である。半周長は s=6+23 なので,内接円の半径 r0r0=Ts=232 である。特に r0>1 である。

(1)
平面 z=0 での切り口は,平面内で三角形 ABC の周から距離1以内にある点全体である。

この面積を,三角形の外側の部分と内側の部分に分ける。外側の部分は,3辺に沿う幅1の帯と,3頂点の外側にできる扇形を合わせたものである。外角の和は 360 なので,扇形の面積の和は半径1の円1個分,すなわち π である。したがって外側の面積は L+π である。

内側の部分は,三角形の内側で周から距離1以内の帯である。r0>1 なので,周から距離1より遠い内側の部分は,もとの三角形と相似な三角形として残る。その内接円半径は r01 であるから,面積比は (r01r0)2 である。よって内側の帯の面積はT{1(r01r0)2}=2Tr0Tr02である。ここで 2Tr0=L,Tr02=3+23 なので,内側の帯の面積は L(3+23) である。

したがって切り口の面積は (L+π)+{L(3+23)}=2L+π323 である。L=12+43 を代入して 21+63+π である。

(2)
高さ z で切る。球の半径は1なので,z1 のときだけ断面があり,その平面内では三角形の周から距離 ρ=1z2 以内の点全体になる。ここで 0ρ1<r0 であるから,(1) と同じ相似の考え方が使える。

半径 ρ の外側部分の面積は Lρ+πρ2 である。内側の帯の面積はT{1(r0ρr0)2}=Lρ(3+23)ρ2である。したがって高さ z での断面積 A(z)A(z)=2Lρ+(π323)ρ2 すなわち A(z)=2L1z2+(π323)(1z2) である。

よって体積 VV=11{2L1z2+(π323)(1z2)}dz である。ここで111z2dz=π2,11(1z2)dz=43だからV=2Lπ2+(π323)43=π(12+43)+4π34833=π(403+43)4833である。

別解

解法2

方針

高さ z の断面で、球の水平半径を ρ=1z2 とする。三角形の外側の平行帯と内側の帯を分け、内側に残る相似三角形の面積を引く。得た断面積を 1z1 で積分する。

解答

三角形の辺長、周長、面積、内接円半径はAB=8,BC=4,CA=43,L=12+43,T=83,r0=232>1.(1) 三角形の外側で周から距離1以内の面積は L+π である。内側で周から距離1以内の面積は、内接円半径 r01 の相似三角形を引いてT{1(r01r0)2}=L(3+23).したがって切り口の面積は21+63+π.(2) 高さ z では ρ=1z2 とおく。0ρ1<r0 なので同じ相似計算が使え、断面積はA(z)=2Lρ+(π323)ρ2.よってV=11{2L1z2+(π323)(1z2)}dz=π(403+43)4833.

総評

難易度は7,計算量は6程度である。想定時間は28分から40分程度。球の中心が面ではなく三角形の周上を動くため,断面は「三角形全体の平行図形」ではなく「周から一定距離以内の帯」である。外側の面積は周長と円1個分で処理できるが,内側は頂点付近の帯が重なるので補正が必要になる。内接円半径 r0=232>1 を確認し,内側に残る相似三角形を使うのが安全である。既存の 2L+π 型の式は内側補正を落としているため過大になる。

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出典: 東京大学 1985年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。