方針
まず f′(x) を計算し、2解 α,β の和と差を t で表す。絶対値和は t が2解の間にあるか、2解の右にあるかで形が変わるため、f′(t)=(t−1)(t−2) の符号を使って 1≦t≦2 と 2≦t≦3 に分ける。各区間で最大最小を調べる。
解答
f(x)=(x2−3x+2)(x−t) であるから f′(x)=(2x−3)(x−t)+(x2−3x+2) であり、整理して f′(x)=3x2−2(t+3)x+3t+2 となる。
判別式は {−2(t+3)}2−4⋅3(3t+2)=4(t2−3t+3) である。ここで t2−3t+3=(t−23)2+43>0 なので、f′(x)=0 は常に異なる2解をもつ。
2解を α<β とすると、解と係数の関係から α+β=32(t+3) であり、また β−α=32t2−3t+3 である。
次に t と α,β の位置関係を調べる。 f′(t)=t2−3t+2=(t−1)(t−2) である。f′(x) は上に開く2次式なので、α<x<β で負、外側で正である。
したがって 1≦t≦2 では α≦t≦β であり、2≦t≦3 では α≦β≦t である。 1≦t≦2 では ∣t−α∣+∣t−β∣=β−α=32t2−3t+3 である。この右辺は t=3/2 で最小となり、最小値は 3243=33 である。またこの区間の端 t=1,2 では値は 2/3 である。 2≦t≦3 では ∣t−α∣+∣t−β∣=(t−α)+(t−β)=2t−(α+β) である。よって ∣t−α∣+∣t−β∣=2t−32(t+3)=34t−2 となる。これは t の増加関数なので、t=3 で最大値 2 をとる。
以上より、求める最大値は 2 であり、そのとき t=3 である。最小値は 33 であり、そのとき t=23 である。
t が2根の間にある区間では、距離の和は根の間隔に等しい
別解
解法2
方針
2つの根 α,β を明示し、t−α と
t−β の符号を一度に判定する。(2t−3)2 と
t2−3t+3 の差が 3(t−1)(t−2) になるため、
絶対値の分岐点 t=2 が直接現れる。
解答
f′(x)=3x2−2(t+3)x+3t+2である。D=t2−3t+3 とおけば D>0 であり、α=3t+3−D,β=3t+3+D.したがってt−α=32t−3+D,t−β=32t−3−D.ここで(2t−3)2−D=3(t−1)(t−2).1≦t≦2 では∣2t−3∣≦D だから
t−α≧0、t−β≦0 である。よって∣t−α∣+∣t−β∣=32D=32(t−23)2+43.この区間での最小値は t=23 のとき33であり、最大値は両端での 32 である。
2≦t≦3 では 2t−3>0 かつ2t−3≧D だから、両方の差が非負である。したがって∣t−α∣+∣t−β∣=32(2t−3)=34t−2.これは増加関数であり、t=3 のとき 2 となる。
以上より最大値 2 (t=3),最小値 33 (t=23).
総評
導関数を表す2次方程式の2解と絶対値の位置関係を整理する問題。目安時間は17分。2解を直接求めるより、和と差を使う方が計算が軽い。最大の注意点は、t=2 を境に t が2解の間にあるか、2解の右にあるかが変わることである。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。
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出典: 東京大学 1984年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。