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東京大学 2001年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

容量1リットルのm個のビーカーに水が入っている。
m4で空のビーカーは無い。
入っている水の総量は1リットルである。
またxリットルの水が入っているビーカーがただ一つあり,
その他のビーカーにはxリットル未満の水しか入っていない。

このとき,水の入っているビーカーが2個になるまで,
次の(a)から(c)までの操作を,順に繰り返し行う。

(a) 入っている水の量が最も少ないビーカーを一つ選ぶ。

(b) さらに,残りのビーカーの中から,入っている水の量が最も少ないものを一つ選ぶ。

(c) 次に,(a)で選んだビーカーの水を(b)で選んだビーカーにすべて移し,
空になったビーカーを取り除く。

この操作の過程で,
入っている水の量が最も少ないビーカーの選び方が一通りに決まらないときは,
そのうちのいずれも選ばれる可能性があるものとする。

(1) x<13のとき,
最初にxリットルの水の入っていたビーカーは,
操作の途中で空になって取り除かれるか,
または最後まで残って水の量が増えていることを証明せよ。

(2) x>25のとき,
最初にxリットルの水の入っていたビーカーは,
最後までxリットルの水が入ったままで残ることを証明せよ。

難易度8/ 10計算量5/ 10目安25

論証・証明数と式 不等式評価、場合分け、背理法、状態分類

方針

最初に x リットル入っていたビーカーを特別なビーカー X として区別する。(1)は、X が最後まで水量 x のまま残ると仮定し、最後の操作直前の3個を調べる。残り2個の和が 1x>2x となるため、X は最後の操作で必ず選ばれて矛盾する。(2)は、非特別ビーカーが3個以上ある間、その最小2個の和が x 未満であることを x>2/5 から示し、非特別ビーカー同士だけが合併され続けることを帰納的に追う。

解答

最初に x リットルの水が入っていたビーカーを X と呼ぶ。初めに X 以外のビーカーには、すべて x リットル未満の水しか入っていない。

(1) x<1/3 とする。X が途中で取り除かれず、かつ最後まで水の量が x のまま増えないと仮定して矛盾を導く。

最後の操作の直前には、水の入っているビーカーが3個ある。そのうち1個は X であり、他の2個の水量を y,z とする。この時点でも総水量は1リットルなので y+z=1x である。いま x<1/3 だから y+z=1x>23>2x である。したがって y,z がともに x 以下であることはできず、少なくとも一方は x より大きい。

すると、3個の水量 x,y,z のうち、X の水量 x は大きい方から1番目になることはない。すなわち X は水量の少ない2個の中に必ず含まれる。最後の操作では水量の少ない2個が選ばれるので、X は必ず選ばれる。

もし X が(a)で選ばれたビーカーなら、その水は別のビーカーへ移され、X は空になって取り除かれる。もし X が(b)で選ばれたビーカーなら、別のビーカーの水が X に移されるので、X の水量は x より増える。いずれも仮定に反する。

よって X は、操作の途中で空になって取り除かれるか、または最後まで残って水の量が増えている。

(2) x>2/5 とする。X 以外のビーカーを非特別ビーカーと呼ぶ。X が選ばれない限り、非特別ビーカー全体の水量は 1x のままである。

非特別ビーカーが3個以上ある段階を考える。その中で水量の最も少ない2個を yz とする。もし y+zx なら、3番目に少ない非特別ビーカーの水量は少なくとも z であるから、非特別ビーカー全体の水量は少なくとも y+2z である。ここで yz かつ y+zx より、zx/2 である。したがって y+2z=(y+z)+zx+x2=32x となる。よって 1x32x が必要であるが、これは x25 を意味し、x>2/5 に反する。

したがって、非特別ビーカーが3個以上ある間、その中で最も少ない2個の水量の和は常に x 未満である。

初め、非特別ビーカーの水量はいずれも x 未満である。いま非特別ビーカーが3個以上あり、すべての非特別ビーカーの水量が x 未満であるとする。このとき、全体の中で水量の最も少ない2個は X ではなく非特別ビーカーである。さらに上で示したことから、その2個を合併してできるビーカーの水量も x 未満である。

よって帰納的に、非特別ビーカーが2個になるまで、操作で選ばれるのは常に非特別ビーカー同士であり、合併後も各非特別ビーカーの水量は x 未満である。

最後の操作の直前には、X と非特別ビーカー2個が残っている。この2個の非特別ビーカーはいずれも x 未満であるから、水量の少ない2個として選ばれるのはその2個であり、X は選ばれない。したがって X は最後まで x リットルの水が入ったままで残る。

別解

解法2(最初の反例を仮定する)

方針

特別なビーカー X が結論に反する最初の時刻を考える。
(1)は最後の3個の総量、(2)は初めて非特別ビーカーの合併量が
x 以上になる時刻を用いて矛盾を導く。

解答

最初に x リットル入っていたビーカーを X とする。

(1)

X が取り除かれず、水量も増えないまま最後まで残ると仮定する。
最後の操作直前の他の2個の水量を y,z とするとy+z=1x>2x.したがって y,z の少なくとも一方は x より大きく、
X は3個のうち少ない方の2個に必ず入る。
最後の操作で X が(a)に選ばれれば取り除かれ、
(b)に選ばれれば水量が増える。いずれも仮定に反する。

(2)

X 以外の2個を合併して初めて水量が x 以上になる操作が
存在すると仮定する。その直前、選ばれる2個を yz とする。
まだ非特別ビーカーは3個以上あるから、別の1個の水量は z 以上である。
y+zx なら1xy+2z(y+z)+y+z23x2.これは x2/5 を意味し、仮定 x>2/5 に反する。

よって非特別ビーカー同士の合併後の水量は、最後まで x 未満である。
したがって非特別ビーカーが2個になるまで X は最小2個に入らず、
最後の操作でもその2個だけが選ばれる。
ゆえに X は水量 x のまま最後まで残る。

総評

難度8、計算量5。操作自体は単純だが、「最小2個を合併する」という過程を最後の3個、または非特別ビーカー全体の不変量から見る必要がある。(1)は最後の操作直前だけを見ればよく、1x>2x が核心である。(2)は非特別ビーカーの最小2個の和が x 未満に保たれることを示すのが最重要で、y+zx と仮定したときに 1x3x/2 へ持ち込む。選び方に同数の曖昧さがあっても結論が変わらないよう、X が選ばれるか選ばれないかを明確に書き分けたい。目安は25分程度。 2つの解法は標準的な答案手順と、別の構造から検算できる経路に分けた。必要性と十分性、等号条件、範囲を明示し、積分・総和・極限と主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。

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出典: 東京大学 2001年度 前期 数学 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。