方針
最初に リットル入っていたビーカーを特別なビーカー として区別する。(1)は、 が最後まで水量 のまま残ると仮定し、最後の操作直前の3個を調べる。残り2個の和が となるため、 は最後の操作で必ず選ばれて矛盾する。(2)は、非特別ビーカーが3個以上ある間、その最小2個の和が 未満であることを から示し、非特別ビーカー同士だけが合併され続けることを帰納的に追う。
解答
最初に リットルの水が入っていたビーカーを と呼ぶ。初めに 以外のビーカーには、すべて リットル未満の水しか入っていない。
(1) とする。 が途中で取り除かれず、かつ最後まで水の量が のまま増えないと仮定して矛盾を導く。
最後の操作の直前には、水の入っているビーカーが3個ある。そのうち1個は であり、他の2個の水量を とする。この時点でも総水量は1リットルなので である。いま だから である。したがって がともに 以下であることはできず、少なくとも一方は より大きい。
すると、3個の水量 のうち、 の水量 は大きい方から1番目になることはない。すなわち は水量の少ない2個の中に必ず含まれる。最後の操作では水量の少ない2個が選ばれるので、 は必ず選ばれる。
もし が(a)で選ばれたビーカーなら、その水は別のビーカーへ移され、 は空になって取り除かれる。もし が(b)で選ばれたビーカーなら、別のビーカーの水が に移されるので、 の水量は より増える。いずれも仮定に反する。
よって は、操作の途中で空になって取り除かれるか、または最後まで残って水の量が増えている。
(2) とする。 以外のビーカーを非特別ビーカーと呼ぶ。 が選ばれない限り、非特別ビーカー全体の水量は のままである。
非特別ビーカーが3個以上ある段階を考える。その中で水量の最も少ない2個を とする。もし なら、3番目に少ない非特別ビーカーの水量は少なくとも であるから、非特別ビーカー全体の水量は少なくとも である。ここで かつ より、 である。したがって となる。よって が必要であるが、これは を意味し、 に反する。
したがって、非特別ビーカーが3個以上ある間、その中で最も少ない2個の水量の和は常に 未満である。
初め、非特別ビーカーの水量はいずれも 未満である。いま非特別ビーカーが3個以上あり、すべての非特別ビーカーの水量が 未満であるとする。このとき、全体の中で水量の最も少ない2個は ではなく非特別ビーカーである。さらに上で示したことから、その2個を合併してできるビーカーの水量も 未満である。
よって帰納的に、非特別ビーカーが2個になるまで、操作で選ばれるのは常に非特別ビーカー同士であり、合併後も各非特別ビーカーの水量は 未満である。
最後の操作の直前には、 と非特別ビーカー2個が残っている。この2個の非特別ビーカーはいずれも 未満であるから、水量の少ない2個として選ばれるのはその2個であり、 は選ばれない。したがって は最後まで リットルの水が入ったままで残る。
別解
解法2(最初の反例を仮定する)
方針
特別なビーカー が結論に反する最初の時刻を考える。
(1)は最後の3個の総量、(2)は初めて非特別ビーカーの合併量が
以上になる時刻を用いて矛盾を導く。
解答
最初に リットル入っていたビーカーを とする。
(1)
が取り除かれず、水量も増えないまま最後まで残ると仮定する。
最後の操作直前の他の2個の水量を とするとしたがって の少なくとも一方は より大きく、
は3個のうち少ない方の2個に必ず入る。
最後の操作で が(a)に選ばれれば取り除かれ、
(b)に選ばれれば水量が増える。いずれも仮定に反する。
(2)
以外の2個を合併して初めて水量が 以上になる操作が
存在すると仮定する。その直前、選ばれる2個を とする。
まだ非特別ビーカーは3個以上あるから、別の1個の水量は 以上である。
ならこれは を意味し、仮定 に反する。
よって非特別ビーカー同士の合併後の水量は、最後まで 未満である。
したがって非特別ビーカーが2個になるまで は最小2個に入らず、
最後の操作でもその2個だけが選ばれる。
ゆえに は水量 のまま最後まで残る。
総評
難度8、計算量5。操作自体は単純だが、「最小2個を合併する」という過程を最後の3個、または非特別ビーカー全体の不変量から見る必要がある。(1)は最後の操作直前だけを見ればよく、 が核心である。(2)は非特別ビーカーの最小2個の和が 未満に保たれることを示すのが最重要で、 と仮定したときに へ持ち込む。選び方に同数の曖昧さがあっても結論が変わらないよう、 が選ばれるか選ばれないかを明確に書き分けたい。目安は25分程度。 2つの解法は標準的な答案手順と、別の構造から検算できる経路に分けた。必要性と十分性、等号条件、範囲を明示し、積分・総和・極限と主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。