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東京大学 2001年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

コインを投げる試行の結果によって,
数直線上にある2点ABを次のように動かす。

表が出た場合: 
Aの座標が点Bの座標より大きいときは,ABを共に正の方向に1動かす。
そうでないときは,Aのみ正の方向に1動かす。

裏が出た場合: 
Bの座標が点Aの座標より大きいときは,ABを共に正の方向に1動かす。
そうでないときは,Bのみ正の方向に1動かす。

最初2点ABは原点にあるものとし,
上記の試行をn回繰り返してABを動かしていった結果,
ABの到達した点の座標をそれぞれabとする。

(1) n回コインを投げたときの表裏の出方の場合の数2n通りのうち,
a=bとなる場合の数をXnとおく。
Xn+1Xnの間の関係式を求めよ。

(2) Xnを求めよ。

(3) n回コインを投げたときの表裏の出方の場合の数2n通りについてのaの値の平均を求めよ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

場合の数確率数列 状態分類漸化式の変形、期待値、数学的帰納法

方針

(1) (2)は文科第3問と同じく差 d=ab を追う。d=0 からは次に等しくならず、d0 からは2通りのうち1通りだけ等しくなるので Xn+1=2nXn が得られる。(3)は対称性から a の平均が a+b の平均の半分であることを使う。j 回後に d=0 である割合を Xj/2j とし、次の1回での a+b の平均増加量を足し上げる。

解答

(1) d=ab とおく。初めは d=0 である。d=0 のとき、表なら A だけが1進むので d=1、裏なら B だけが1進むので d=1 となる。したがって d=0 から次に d=0 になることはない。 d=1 のときは、表なら A,B がともに1進んで d=1 のままであり、裏なら B だけが1進んで d=0 となる。d=1 のときも同様に、2通りのうち1通りだけが d=0 へ戻る。

よって、n 回後に d0 である 2nXn 通りから、それぞれ1通りずつ n+1 回後に d=0 となる。したがって Xn+1=2nXn である。

(2) X1=0 である。(1)の漸化式に対し、Yn=Xn2n3 とおくと Yn+1=Yn である。また Y1=23 だから Yn=2(1)n3 である。したがって Xn=2n+2(1)n3 である。

(3) n 回後の a+b の平均を En とする。規則は AB、表と裏を入れ替えても対称なので、a の平均と b の平均は等しい。したがって求める a の平均は En2 である。 j 回後に d=0 である割合は Xj/2j である。ただし j=0 ではまだ何も投げていないので X0=1 とおく。この値は X0=20+2(1)03=1 であり、(2)の式と一致している。

次の1回で a+b がどれだけ増えるかを調べる。d=0 のときは、表でも裏でも片方だけが1進むので、a+b の増加量は1である。d0 のときは、2通りのうち一方では2点がともに1進んで増加量2、もう一方では片方だけが1進んで増加量1である。したがって平均増加量は 2+12=32 である。

よって j 回後から j+1 回後への a+b の平均増加量は1Xj2j+32(1Xj2j)=3212Xj2jである。したがってEn=j=0n1{3212Xj2j}となる。

(2) より Xj2j=13+2(1)j32j であるからEn=j=0n1{3216(1)j32j}=j=0n1{4313(12)j}=4n3131(12)n1+12=4n329{1(12)n}.したがって a の平均は En2=2n319+19(12)n である。すなわち 6n19+19(12)n である。

別解

解法2(3状態の増分を直接平均する)

方針

d=ab の3状態で場合の数を数え、
偶数番・奇数番に分けて Xn を求める。
(3)は各状態における a の1回の増加量を直接平均して総和する。

解答

(1)

d=ab1,0,1 のいずれかである。
d=0 からは0へ戻らず、d=±1 からは表裏の一方だけで0へ戻るのでXn+1=2nXn.(2)Xn+2=2n+Xn,X0=1,X1=0.偶数番・奇数番を別々に足すとX2m=4m+23,X2m+1=2(4m1)3.したがってXn=2n+2(1)n3.(3)

j 回後に d=0 である確率を pj=Xj/2j とする。
対称性から d=1d=1 の確率はともに
(1pj)/2 である。

次の1回における a の平均増加量は、
d=0d=1 では 1/2d=1 では1である。
よって12pj+121pj2+11pj2=3414pj.pj=13+23(12)jj=0,,n1 について足すと、求める平均はj=0n1(3414pj)=j=0n1{2316(12)j}=6n19+19(12)n.

総評

難度7、計算量6。差 d=ab の3状態分類と、対称性によるa の平均が a+b の平均の半分になることが核心である。d=0d0 の増分、X0=1 を確認できる2解法を示した。

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出典: 東京大学 2001年度 前期 数学 第6問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。