方針
(1) は二項定理で (z+z−1)2n を展開し、指数を 2n−2k に整理する。(2) は ∣z∣=1 のとき z−1=z、z+z−1=2cosθ であり、各項の実部が cos(2(n−k)θ) になることを使う。(3) は両辺を積分し、k=n 以外の余弦項の積分が0になることを示す。
解答
(1)
二項定理より (z+z−1)2n=k=0∑2n2nCkz2n−k(z−1)k である。指数をまとめると (z+z−1)2n=k=0∑2n2nCkz2n−2k となる。
(2) z=cosθ+isinθ とおくと ∣z∣=1 であり、z−1=cosθ−isinθ である。したがって z+z−1=2cosθ である。また整数 m について、zm の実部は cosmθ である。
(1) の両辺に z=cosθ+isinθ を代入して実部を比較すると(2cosθ)2n=k=0∑2n2nCkcos(2n−2k)θすなわち(2cosθ)2n=k=0∑2n2nCkcos(2(n−k)θ)を得る。これは問題の等式である。
(3)
(2) の等式を 0≦θ≦π/2 で積分する。左辺は 22n∫02πcos2nθdθ である。右辺について、k=n のとき∫02πcos(2(n−k)θ)dθ=[2(n−k)sin(2(n−k)θ)]02π=0である。k=n のときだけ ∫02π1dθ=2π が残る。したがって22n∫02πcos2nθdθ=2nCn2πである。よって∫02πcos2nθdθ=22n+12nCnπであり、2nCn=(2n)!/(n!)2 より∫02πcos2nθdθ=22n+1(n!)2(2n)!πである。
別解
解法2
方針
問1・問2は共役な冪を組にして実部をとる。問3は前問とは独立に部分積分からウォリス型漸化式を導き、積を階乗へ直して同じ公式を確認する。
解答
(問1)
二項定理より(z+z−1)2n=k=0∑2n2nCkz2n−2k.(問2)
∣z∣=1 なので z−1=z でありz+z−1=2cosθ.またド・モアブルの定理よりRe(z2n−2k)=cos{2(n−k)θ}.問1の両辺の実部をとれば(2cosθ)2n=k=0∑2n2nCkcos{2(n−k)θ}.(問3)In=∫0π/2cos2nθdθとおく。部分積分によりIn=(2n−1)∫0π/2sin2θcos2n−2θdθ=(2n−1)(In−1−In).したがってIn=2n2n−1In−1.I0=π/2 なのでIn=2⋅4⋯2n1⋅3⋯(2n−1)2π.ここで1⋅3⋯(2n−1)=2nn!(2n)!,2⋅4⋯2n=2nn!であるからIn=22n+1(n!)2(2n)!π.
総評
難度6、計算量5。想定時間は22分程度。複素数展開では指数 2n−2k と角 2(n−k)θ を対応させる。問3は展開の定数項だけを残す方法と、部分積分による漸化式の2通りで公式を照合した。定積分は独立表示し、階乗変形も省略しない。
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出典: 北海道大学 2017年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。