方針
有理数解を既約分数で表し、方程式へ代入して分母の条件を調べる。(2)では整数解を k 個の剰余類の代表へ移す。
解答
(1) α=m/r を既約分数とし、r>0 とする。f(α)=0 に rn を掛けるとmn+a1mn−1r+⋯+an−1mrn−1+anrn=0.よってmn=−r(a1mn−1+⋯+an−1mrn−2+anrn−1).したがって r∣mn である。m,r は互いに素だから r=1 であり、α は整数である。
(2) 有理数解が存在すると仮定すれば、(1)より整数解 m が存在する。m≡s(modk) となる s∈{1,2,…,k} を選ぶ。係数が整数なのでf(m)≡f(s)(modk).f(m)=0 だから k∣f(s) となり、仮定に反する。ゆえに有理数解は存在しない。
別解
解法2(素因数による背理法)
方針
既約分数の分母が1より大きいと仮定し、その素因数で方程式全体を調べる。(2)は整式の差の因数分解を使って仮定と矛盾させる。
解答
(1) α=m/r を既約分数とする。r>1 と仮定し、r の素因数 q を取る。
f(m/r)=0 に rn を掛けた式では、最高次の mn 以外の各項が r を因数にもつ。したがって q∣mn、ゆえに q∣m である。しかし q∣r でもあるから、m/r が既約であることに反する。よって r=1 である。
(2) 有理数解があるとすれば、(1)より整数解 m がある。m−s が k の倍数となる s∈{1,ldots,k} を取る。
整数係数の整式についてf(m)−f(s)=(m−s)Hと書け、H は整数である。よって k∣{f(m)−f(s)} である。f(m)=0 だから k∣f(s) となり、仮定に反する。したがって有理数解はない。
総評
難度5、計算量4、目安24分。文系の3次版を一般の n 次へ拡張した問題であり、次数が変わっても論理の核は同じである。既約分数の分母を直接割り切りで消す答案と、分母の素因数を選ぶ背理法を用意した。(2)も合同式と整式の差の因数分解の二方向から確認した。
冊子PDFで見る九大の整数の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 1982年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。