Evolton

九州大学 2001年度 前期日程 第2次学力試験 整数・数と式文系数学 第3問(b)

(1) 自然数abが互いに素であるとはどういうことか.

(2) 自然数abが互いに素であるならa2b2は互いに素であることを示せ.

(3) nを自然数とする.
もしもnが有理数ならば,nは自然数であることを示せ.
ただし,有理数とは分母と分子がともに整数で表される分数のことである.

(4) nが自然数のとき,nn+1n+2のうち
少なくとも2つは無理数であることを示せ.

難易度4/ 10計算量3/ 10目安10

整数数と式論証・証明 素因数分解、背理法、範囲評価

方針

互いに素の定義を公約数で明確にし、平方しても共通する素因数が現れないことを示す。n が有理数なら既約分数 p/q として、p2=nq2 から q=1 を導く。最後は、3つの連続する自然数の中に平方数が2つ以上あると、正の平方数どうしの差が1または2になるはずだが、連続する平方数の差は少なくとも3であることから矛盾させる。

解答

(1)

自然数 a,b が互いに素であるとは、ab の正の公約数が1だけであること、すなわち最大公約数が1であることをいう。

(2) a,b が互いに素であるとする。もし a2b2 が1より大きい公約数をもつなら、ある素数 pa2b2 の両方を割り切る。素数 pa2 を割り切るなら pa を割り切り、同様に pb も割り切る。これは a,b が互いに素であることに反する。

したがって a2b2 は互いに素である。

(3) n が有理数であるとする。このとき互いに素な自然数 p,q を用いて n=pq と表せる。両辺を2乗すると p2=nq2 である。したがって q2p2 を割り切る。

しかし p,q は互いに素なので、(2)より p2,q2 も互いに素である。よって q2p2 を割り切るには q2=1、すなわち q=1 でなければならない。したがって n=p であり、n は自然数である。

(4)

(3) より、nn+1n+2 が有理数であることは、それぞれ nn+1n+2 が平方数であることと同値である。

ところが、正の平方数を小さい順に並べると、隣り合う平方数の差は (k+1)2k2=2k+1 であり、k1 では 2k+13 である。したがって、差が1または2である2つの自然数がともに平方数になることはない。

よって連続する3つの自然数 n,n+1,n+2 の中に平方数は高々1つしかない。したがって nn+1n+2 のうち少なくとも2つは無理数である。

別解

解法2

方針

素因数分解に現れる各素数の指数で考える。
既約分数の分母に素因数があれば2乗後にも残ることを使い、
最後は平方数の差を因数分解して連続3整数を調べる。

解答

(1)
a,b の最大公約数が1、すなわち共通する素因数をもたないことをいう。

(2)
素因数分解で a2,b2 に現れる素数は、それぞれ
a,b に現れる素数と同じで、指数だけが2倍になる。
a,b に共通する素因数がない以上、a2,b2 にもない。
よって両者は互いに素である。

(3) n=p/q を互いに素な自然数 p,q で表すとp2=nq2.もし q>1 なら q の素因数 は右辺を割るので p2 を割り、
したがって p も割る。これは p,q が互いに素であることに反する。
よって q=1 で、n=p は自然数である。

(4)
有理な平方根が2つあるとすれば、(3)により
n,n+1,n+2 のうち2つが平方数である。
それらを u2<v2 とすると1v2u2=(vu)(v+u)2.自然数 u<v では vu1, v+u3 なので
積は3以上となり矛盾する。したがって有理なものは高々1つであり、
少なくとも2つは無理数である。

総評

互いに素、既約分数、平方数の間隔を確認する整数論の基本問題。難度はやや易しめ、計算量は少なく、目安時間は12〜15分。(2)では「共通の素因数がない」という言い換えを使うと平方への移行が自然になる。(3)は n=p/q を必ず既約分数で置くことが重要で、既約でないまま進めると q=1 が結論できない。(4)は(3)の結果を使って、有理性の問題を平方数の配置の問題に戻すのが狙いである。

冊子PDFで見る九大の整数の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2001年度 前期 文系 第3問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。