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名古屋大学 1996年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第2問

座標平面上の変換f:P(x,y)P(x,y)(xy)=12A(xy)+(10),A=(cosαsinαsinαcosα)で定める.ここで,0α<2πとする.
初期点P0を原点Oにとり,漸化式Pn+1=f(Pn) (n0)により,点列P1(x1,y1),P2(x2,y2),,Pn(xn,yn),をつくる.次の問に答えよ.

(1) 変換fについて,f(U)=Uとなる点U(a,b)を求めよ.この点を変換fの不動点という.

(2) この不動点Uについて,UPn+1=12UPn,PnUPn+1=α(n0)を示せ.

(3) αを変化させたとき,不動点Uは円の周上を動くことを示せ.
また,その円の中心と半径を求めよ.

(4) 三角形PnUPn+1 (n0)の面積をSn
その総和をS=n=0Snとする.
αを変化させたときのSの最大値を求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

図形と方程式ベクトル数列 座標設定回転・拡大極限計算

方針

不動点 UU=12AU+(1,0) を解いて求める。以後は U を基準に見ると,変換 f は「角 α の回転」と「長さを 1/2 にする縮小」を同時に行うだけになる。(3)では不動点方程式を U(1,0)=12AU と見て,回転では長さが変わらないことから U(1,0)=U/2 を得て円に直す。(4)では三角形の面積を UPnUPn+1sinα で表し,等比級数を足してから α で最大化する。

解答

(1) c=cosα,s=sinα とおく。不動点 U(a,b)(ab)=12(cssc)(ab)+(10)を満たす。両辺を2倍して整理すると(2css2c)(ab)=(20)である。係数行列の行列式は (2c)2+s2=54c>0 なので,a=2(2c)54c,b=2s54c である。すなわちU=(2(2cosα)54cosα,2sinα54cosα)である。

(2)

不動点の式 U=f(U)Pn+1=f(Pn) を引き算すると UPn+1=12AUPn である。行列 A は角 α の回転を表すので,長さを変えず,向きを α だけ回転させる。したがって UPn+1=12UPn であり,また PnUPn+1=α である。

(3) U=(x,y) とする。不動点方程式は U(1,0)=12AU と書ける。回転行列 A は長さを変えないので U(1,0)=12U である。したがって (x1)2+y2=14(x2+y2) となる。整理すると 3x28x+3y2+4=0 であり,平方完成して (x43)2+y2=49 を得る。よって不動点 U は,中心 (43,0) 半径 23 の円周上を動く。

(4)

(2) より UPn=(12)nUP0 である。P0=O だから UP0=U である。三角形 PnUPn+1 の面積は Sn=12UPnUPn+1sinα なので Sn=(14)n+1U2sinα である。したがってS=n=0Sn=U2sinαn=0(14)n+1=U2sinα3となる。

(1) の座標から U2=4{(2c)2+s2}(54c)2=454c=15/4c である。よって S=sinα3(5/4cosα) である。 sinα があるので,0απ で最大を考えればよい。x=cosα とおくと,0απ では S=1x23(5/4x)(1x1) である。最大値を求めるため,正の量 1x2(5/4x)2 を最大化する。微分するとddx{1x2(5/4x)2}=2(15x/4)(5/4x)3であるから,最大は x=45 のときである。このとき 1x2=35,54x=920 なので Smax=133/59/20=49 である。

別解

解法2

方針

(x,y) を複素数 z=x+iy で表す。変換を zrz+1r=eiα/2 と書けば、不動点・らせん・軌跡・面積級数が同じ1本の式から得られる。

解答

(1)

z=x+iyr=eiα/2 とおくと変換はf(z)=rz+1である。不動点 uu=ru+1よりu=11r=22eiα.分母を実数化するとu=2(2cosα)+2isinα54cosα.よってU=(2(2cosα)54cosα,2sinα54cosα).(2)zn+1u=r(znu).したがって絶対値は 1/2 倍、偏角は α だけ増える。よってUPn+1=12UPn,PnUPn+1=α.(3)

u1=ru からu1=12u.u=x+iy として平方すると(x1)2+y2=14(x2+y2).整理して(x43)2+y2=49.中心は (4/3,0)、半径は 2/3 である。

(4) znu=rn(z0u)=rnuなのでUPn=u2n.したがってSn=12u2nu2n+1sinα=u2sinα4n+1.ゆえにS=u2sinα3.またu2=454cosα.c=cosα として S2 を最大化するとS2=16(1c2)9(54c)2c=4/5 で最大となる。よってSmax=49.

総評

縮小回転の不動点,軌跡,面積級数をまとめて扱う総合問題である。難易度は7,計算量は6程度で,想定時間は25分前後。(1)の連立一次方程式は分母 54cosα が常に正であることを確認する。(2)以降は不動点を基準に見ると構造が一気に簡単になる。(3)は座標式を直接消去するより,U(1,0)=U/2 と見ると円が自然に出る。(4)は面積の等比級数と最後の最大化で計算ミスが出やすいので,U2=4/(54cosα) を丁寧に確認したい。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、問題文の解釈、図示範囲を確認した。

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出典: 名古屋大学 1996年度 後期日程 第2次学力試験 理系(後期) 後期 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。