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名古屋大学 2016年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

次の問に答えよ。ただし2次方程式の重解は2つと数える。

(1) 次の条件(*)を満たす整数a,b,c,d,e,fの組をすべて求めよ。

(*) 2次方程式x2+ax+b=0の2つの解がc,dである。

2次方程式x2+cx+d=0の2つの解がe,fである。

2次方程式x2+ex+f=0の2つの解がa,bである。

(2) 2つの数列{an}{bn}は,次の条件(**)を満たすとする。

(**) すべての正の整数nについて,anbnは整数であり,
2次方程式x2+anx+bn=0の2つの解がan+1bn+1である。

このとき,

(i) 正の整数mで,bm=bm+1=bm+2=となるものが存在することを示せ。

(ii) 条件(**)を満たす数列{an}{bn}の組をすべて求めよ。

難易度8/ 10計算量6/ 10目安30

整数数列方程式・不等式 解と係数の関係、約数・倍数、場合分け、漸化式の変形

方針

解と係数の関係を使い,6つの整数や2つの数列を「次の組が現在の2次方程式の2根である」という関係に直す。(1)ではd=0d0で分け,d0ならace=1からa,c,e±1に限られることを利用して絞る。(2)(i)ではbn=an+1bn+1から,bn0の範囲ではbnが増加しないこと,またbn+1=0ならbn=0であることを使って,0の現れ方と正整数列の単調性を分ける。(2)(ii)ではbnが一定になった後を分類し,an=1から固定解(1,2)か,bn=0の交代解に限られることを示す。

解答

(1)
解と係数の関係より,条件(*)はc+d=a,cd=b,e+f=c,ef=d,a+b=e,ab=fと書ける。

まずd=0の場合を考える。cd=bよりb=0であり,ab=fよりf=0である。またc+d=aよりc=aa+b=eよりe=aである。一方,e+f=cよりe=c=aでもある。したがってa=aとなり,a=0である。よって a=b=c=d=e=f=0 を得る。

次にd0の場合を考える。b=cdf=abから f=ab=a(cd)=acd である。さらにd=efなので d=eacd となる。d0だから両辺をdで割って ace=1 を得る。a,c,eはいずれも整数であるから,a,c,e{1,1} である。

ここでace=1よりe=acである。またc+d=aから d=ac であり,b=cdより b=c(ac)=ac1 である。これをa+b=eへ代入すると a+(ac1)=ac となるので,a=1でなければならない。したがってe=cd=1cb=c1である。

さらにf=ab=b=c1であり,e+f=cに代入すると c+(c1)=c であるから,c=1である。よって a=1,b=2,c=1,d=2,e=1,f=2 となる。

以上より,条件(*)を満たす整数の組は (a,b,c,d,e,f)=(0,0,0,0,0,0), (1,2,1,2,1,2) である。

(2)
(i)
条件(**)より,すべての正の整数nについて解と係数の関係から an+1+bn+1=an,an+1bn+1=bn が成り立つ。

まず,bn+1=0なら,第二式より bn=an+1bn+1=0 である。したがって,ある時点でbが0なら,それ以前のbもすべて0である。つまり,bn=0となる添字は,先頭から続く部分に限られるか,またはすべての添字である。

もしbn=0がすべてのnで成り立つなら,最初から b1=b2=b3==0 であり,主張は成り立つ。

そうでない場合,ある番号以後はbn0である。その範囲では bn=an+1bn+1 より,bn+1bnの整数の約数である。したがって bn+1bn が成り立つ。以後のbnは正の整数からなる単調非増加列であるから,いつか一定になる。よって,ある正の整数mが存在して bm=bm+1=bm+2= となる。

(2) (ii)
(i)より,あるm以後でbnは一定である。その一定値をMとする。

まずM=0の場合を考える。このとき十分大きいnbn=0である。上で示したようにbn+1=0ならbn=0が従うので,後ろから戻って b1=b2=b3==0 である。すると第一式は an+1=an となる。よって,任意の整数cを用いて an=(1)n1c,bn=0 と表される。実際,このとき2次方程式 x2+anx=x(x+an)=0 の2つの解は0an=(1)ncであり,(an+1,bn+1)=((1)nc,0)と一致する。

次にM>0の場合を考える。十分大きいnでは bn=bn+1=M であるから,第二式より M=bn=an+1bn+1=an+1M となる。M>0なので an+1=1 である。したがって十分大きいnでは,anan+1±1である。

このとき第一式から bn+1=anan+1 である。bn+10だから,anan+1は同符号でなければならない。もしan=an+1=1なら bn+1=2,bn=an+1bn+1=2 となり,状態は(an,bn)=(1,2)で続く。

一方,an=an+1=1ならbn+1=2である。しかし次の段階でも同じ議論によりan+1an+2は同符号でなければならないので,an+2=1となる。このとき bn+2=2,bn+1=an+2bn+2=2 となり,bn+1=2に矛盾する。したがって負の符号の場合は起こらない。

よって十分大きいn(an,bn)=(1,2) である。さらに,もし(an+1,bn+1)=(1,2)なら an+1+bn+1=1=an,an+1bn+1=2=bn より,直前も(an,bn)=(1,2)である。これを後ろから繰り返すと,すべてのnan=1,bn=2 となる。実際,x2+x2=0の2つの解は1と2なので,条件を満たす。

以上より,条件(**)を満たす数列は an=(1)n1c,bn=0(cは整数) または an=1,bn=2 である。

別解

解法2

方針

(1) では3つの積の式をまとめて掛け,零の場合と非零の場合を対称的に処理する。非零ならace=1となるので,符号4通りだけを調べればよい。(2)ではbn+1bnによる絶対値の安定化後,an=±1を得る。負の候補は次の2次方程式の判別式が負になることで直ちに除外する。

解答

(1)
解と係数の関係からc+d=a,cd=b,e+f=c,ef=d,a+b=e,ab=f.まずb,d,fのいずれかが0なら,積の3式を順に用いて3つとも0になる。すると和の3式からc=a,e=c,a=eであり,a=aとなるので,全て0である。

次にbdf0とする。積の3式を掛けるとbdf=(cd)(ef)(ab)=acebdfだからace=1である。整数a,c,e±1で,積が1となる符号は(1,1,1), (1,1,1), (1,1,1), (1,1,1)の4通りである。和の式からd=ac,f=ce,b=ea.後ろ3通りではいずれか1つが0となりbdf0に反する。したがってa=c=e=1だけが残り,b=d=f=2となる。よって(a,b,c,d,e,f)=(0,0,0,0,0,0),(1,2,1,2,1,2).(2)
(i)
すべてのnについてan+1+bn+1=an,an+1bn+1=bn.bn+1=0ならbn=0であるから,0となる添字は先頭から連続する。全て0なら主張は明らかである。そうでなければ,ある添字以後はbn0であり,その範囲でbn+1bnの約数である。よって正整数列bnは単調非増加となり,有限回で一定になる。これで(i)が示された。

(2) (ii)
安定後のbnMとする。M=0なら,安定後のbnは0であり,bn+1=0bn=0を後ろ向きに使って全てのbnが0となる。このときan+1=anなのでan=(1)n1c,bn=0(cは整数).M>0なら,十分大きいnM=bn=an+1bn+1=an+1Mよりan+1=1である。したがって安定した範囲ではan,an+1{1,1}であり,bn+1=anan+1.bn+10だから2つは同符号で,bn+1=2である。正の符号なら状態は(an+1,bn+1)=(1,2)となる。負の符号なら(1,2)となるが,次の方程式はx2x+2=0で判別式が7となり,整数解をもたない。よって負の符号は不可能である。

したがって十分先では(an,bn)=(1,2)である。もし(an+1,bn+1)=(1,2)なら,上の和と積から直前も(an,bn)=(1,2)と一意に決まるので,全てのnで同じである。

以上より求める数列はan=(1)n1c, bn=0(cZ),またはan=1, bn=2である。

総評

難度8,計算量6。目安時間は30分。解と係数の関係を立てるだけでは終わらず,整数条件から割り切りと単調性を引き出す必要がある。(1)ではd0のときにace=1まで落とせるかが勝負で,その後もa=1,c=1を式で絞ると答案が締まる。(2)ではbn+1=0bn=0により0の出現が先頭側へしか戻らないこと,非零になった後はbnが正の整数の単調非増加列になることを分けて書く。最終分類では,bn一定からan=1を導き,負符号の tail が継続できないことまで確認するのが失点防止になる。

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出典: 名古屋大学 2016年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。