方針
直線を双曲線へ代入し、2交点の x 座標が異符号になる条件を解の積から求める。三角形の底辺 PQ と、点 A から直線までの距離を別々に計算し、u=b2−a2 の1変数へまとめる。
解答
(1)
b=0 なら直線は縦線 ax=1 であり、双曲線の左右の枝と1点ずつ交わることはない。以下 b=0 とする。y=bax−1を x2−y2=1 に代入すると(b2−a2)x2+2ax−(1+b2)=0.左右の枝と1点ずつ交わることは、この2次方程式が異符号の2実根をもつことと同値である。解の積は−b2−a21+b2なので、これが負になる条件はb2−a2>0である。この条件のもとでは実際に異符号の2根をもつ。
(2) u=b2−a2>0とおく。交点の x 座標の差は、上の2次方程式の判別式から∣xP−xQ∣=u2∣b∣1+uである。直線上では y=(ax−1)/b だからPQ=∣xP−xQ∣1+b2a2=u2a2+b21+u.点 A(a,b) から直線 ax−by=1 までの距離はa2+b2∣a2−b2−1∣=a2+b21+u.したがってS=21⋅u2a2+b21+u⋅a2+b21+u=u(1+u)3/2.ゆえにS=b2−a2(1+b2−a2)3/2.(3)S′(u)=2u21+u(u−2).よって S は 0<u<2 で減少し、u>2 で増加する。したがってb2−a2=2のとき最小値233をとる。
別解
解法2(行列式と相加相乗平均で求める方法)
方針
交点を結ぶベクトルが直線の方向ベクトル (b,a) に平行であることを使い、三角形の面積を行列式で直接計算する。最小化は微分せず、3項の相加相乗平均で行う。
解答
(1)
直線を双曲線に代入して得る方程式は(b2−a2)x2+2ax−(1+b2)=0.2交点が左右の枝に分かれるための必要十分条件は、2つの x 座標の積が負であることである。よって−b2−a21+b2<0からb2−a2>0を得る。
(2)
u=b2−a2 とおく。交点をP=(xP,baxP−1),Q=(xQ,baxQ−1)とすればPQ=(xQ−xP)(1,ba).したがって、三角形 APQ の面積は行列式を用いてS=21∣xQ−xP∣b−baxP−1−ba(a−xP)=21∣xQ−xP∣∣b∣1+u.一方、2次方程式の解の差から∣xQ−xP∣=u2∣b∣1+u.ゆえにS=u(1+u)3/2=b2−a2(1+b2−a2)3/2.(3)
u>0 に対して1+u=1+2u+2uと3項に分ける。相加相乗平均より(31+u)3≧1⋅2u⋅2u=4u2.したがってS2=u2(1+u)3≧427,すなわちS≧233.等号は 1=u/2、つまり u=2 のときに成立する。よって最小条件はb2−a2=2である。
総評
難度6、計算量6。目安時間は22分。(1)では「左右の枝に1点ずつ」を x 座標が異符号であることへ翻訳する。(2)は式が長く見えるが、u=b2−a2 と置くと底辺と高さの余分な a2+b2 が消える。面積が u だけで決まることが最大の構造である。(3)は微分でも相加相乗平均でもよく、等号条件 u=2 を必ず元の a,b の条件へ戻す。
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出典: 名古屋大学 2020年度 前期日程 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。