方針
F(π/2)=0 と F′(x)≦0 を示す。(2)は積分区間を4分割してすべて [0,π/2] へ移し、被積分関数を F(x)cosx にまとめる。(3)は x と 2π−x を対にする。
解答
(1)
定義からF(2π)=0.またF′(x)=f′(x)+f′(π−x)−f′(π+x)−f′(2π−x).f′′(x)>0 より f′ は増加する。0≦x≦π/2 ではx≦π+x,π−x≦2π−xだから F′(x)≦0 である。したがって F はこの区間で減少し、F(x)≧F(2π)=0.(2)
積分を4区間に分け、それぞれを [0,π/2] へ移すと∫02πf(x)cosxdx==∫0π/2f(x)cosxdx−∫0π/2f(π−x)cosxdx−∫0π/2f(π+x)cosxdx+∫0π/2f(2π−x)cosxdx∫0π/2F(x)cosxdx.(1)より F(x)≧0、またこの区間では cosx≧0 だから∫02πf(x)cosxdx≧0.(3)
後半の積分に t=2π−x を用いると∫02πg(x)sinxdx=∫0π{g(x)−g(2π−x)}sinxdx.0<x<π では x<2π−x であり、g は減少するのでg(x)>g(2π−x).また sinx>0 だから、被積分関数は非負である。よって∫02πg(x)sinxdx≧0.
別解
解法2(導関数の積分と部分積分を使う方法)
方針
(1)は関数値の差を導関数の定積分で表し、f′ の増加性を直接使う。(2)は部分積分後に x と 2π−x を対にする。(3)は g の原始関数を導入して(2)へ帰着する。
解答
(1)
0≦x≦π/2 のときf(π−x)−f(x)=∫xπ−xf′(t)dtである。また変数を π だけずらすとf(2π−x)−f(π+x)=∫xπ−xf′(t+π)dt.したがってF(x)=∫xπ−x{f′(t+π)−f′(t)}dt.f′′>0 より f′ は増加し、常にf′(t+π)−f′(t)>0.積分区間の向きも正だからF(x)≧0.(2)
部分積分により∫02πf(x)cosxdx=[f(x)sinx]02π−∫02πf′(x)sinxdx=−∫02πf′(x)sinxdx.一方、∫02πf′(x)sinxdx=∫0π{f′(x)−f′(2π−x)}sinxdx.0<x<π では x<2π−x なので、f′ の増加性から中括弧内は負である。ゆえに右辺は0以下であり、∫02πf(x)cosxdx≧0.(3)
G′(x)=g(x) となる原始関数 G を取る。f=−G とおけばf′′(x)=−G′′(x)=−g′(x)>0.したがって(2)を f=−G に適用して−∫02πG(x)cosxdx≧0.また部分積分により∫02πg(x)sinxdx=∫02πG′(x)sinxdx=[G(x)sinx]02π−∫02πG(x)cosxdx=−∫02πG(x)cosxdx.よって求める不等式が従う。
総評
難度6、計算量5。目安時間は22分。全体を貫くのは、凸性 f′′>0 を f′ の増加性へ言い換え、対称な2点の差の符号を決める考え方である。4区間分割は設問(1)の F をそのまま使う王道で、部分積分はより短く全体構造を示す。定積分はすべて区間と微分 dx を明示し、置換時には積分区間の向きと sin(2π−x)=−sinx の符号を同時に確認する。
冊子PDFで見る名大の積分の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 2020年度 前期日程 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。