問題
2名が先攻と後攻にわかれ,次のようなゲームを行う。
(i) 正方形の4つの頂点を反時計回りにA,B,C,Dとする。両者はコマを1つずつ持ち,ゲーム開始時には先攻の持ちゴマはA,後攻の持ちゴマはCに置いてあるとする。
(ii) 先攻から始めて,交互にサイコロを振る。ただしサイコロは1から6までの目が等確率で出るものとする。出た目を3で割った余りが0のときコマは動かさない。また余りが1のときは,自分のコマを反時計回りに隣の頂点に動かし,余りが2のときは,自分のコマを時計回りに隣の頂点に動かす。もし移動した先に相手のコマがあれば,その時点でゲームは終了とし,サイコロを振った者の勝ちとする。
ちょうど回サイコロが振られたときに勝敗が決まる確率をとする。このとき,以下の問に答えよ。
(1) を求めよ。
(2) を求めよ。
(3) このゲームは後攻にとって有利であること,すなわち2以上の任意の整数に対して
が成り立つことを示せ。ただし正の実数に対しは,その整数部分を表す。
方針
解法1(状態確率の漸化式)
勝敗未決の状態を「隣接」と「対角」の2種類に分け、その無条件確率を とする。2状態の遷移から の2項間漸化式を作り、 を用いる。偶数回と奇数回を1組ずつ比較して後攻有利を示す。
解法2(生き残る出目列を数える方法)
各回の出目を3で割った余りだけを記録する。勝敗が未決のまま隣接・対角状態に至る余り列の本数を として整数漸化式を作る。最後に全 通りで割って確率へ戻す。
解答
解法1(状態確率の漸化式)
(1)
最初は2つのコマが向かい合っている。1回目の後、向かい合ったままである確率は 、隣り合う確率は である。2回目に勝つには、隣り合った状態から相手の位置へ動けばよいので
2回目終了時に、勝敗が未決で隣り合っている確率は
したがって
(2)
回後に勝敗が未決で、隣接状態にある確率を 、対角状態にある確率を とする。初期値は
遷移図から
また
を消去すると
特性方程式の2根を
とすると
したがって
(3)
とおくと であり、
よって
したがって である。さらに である。
が奇数なら各組
を足せば右辺が大きい。 が偶数なら、直前の奇数 までの不等式の右辺に正の がさらに加わる。よって任意の で後攻の勝つ確率の方が大きい。
解法2(生き残る出目列を数える方法)
各回の出目を3で割った余りは の3通りで、いずれも確率 である。
(1)
1回目に隣接状態になる余り列は2本ある。その各々について、2回目に相手を取る余りは1通りなので
2回目まで勝敗が未決で隣接状態に至る列は、初めに対角のままで次に隣接する2本と、初めに隣接して次も隣接する2本の計4本である。よって
(2)
回後まで勝敗が未決で、隣接状態に至る余り列の本数を 、対角状態に至る本数を とする。初期値は
隣接状態からは、1通りが隣接、1通りが対角、1通りが勝敗決定へ進む。対角状態からは、2通りが隣接、1通りが対角へ進む。したがって
を消去すると
よって
回目に初めて勝敗が決まる列は、 回後に隣接している各列から1本ずつある。したがって
添字を戻せば
(3)
とおく。上の式を偶数番目と奇数番目に分けると
よって各 について
も合わせ、偶数回で決まる確率を奇数回で決まる確率と順に組にして足せば、どの打切り回数 でも偶数回側、すなわち後攻側の累積確率が大きい。