問題
1から12までの数字が,1段目に左から1,2,3,4,5,2段目に左から6,7,8,9,3段目に左から10,11,4段目に12となる階段状のマス目に並べて書かれている。

以下のルール(a),(b)と(終了条件)を用いたゲームを行う。ゲームを開始すると最初に(a)を行い,(終了条件)が満たされたならゲームを終了する。そうでなければ(終了条件)が満たされるまで(b)の操作を繰り返す。ただし,(a)と(b)における数字を選ぶ操作はすべて独立な試行とする。
(a) 1から12までの数字のどれか1つを等しい確率で選び,選んだ数字を丸で囲み,その上に石を置く。
(b) 石が置かれた位置の水平右側または垂直下側の位置にある数字のどれか1つを等しい確率で選び,その数字を丸で囲み,そこに石を移して置く。例えば,石が6の位置に置かれているときは,7,8,9,10,12のどれか1つを等しい確率で選ぶ。
(終了条件) 5,9,11,12の数字のどれか1つが丸で囲まれ石が置かれている。
ゲームの終了時に数字が丸で囲まれている確率をとする。以下の問に答えよ。
(1) 確率を求めよ。
(2) 確率とを求めよ。
(3) 確率のうち最も大きいものの値を求めよ。
方針
解法1(目標終点から到達確率を逆向きに求める)
文系版と同じく,目標数字が終了時までに丸で囲まれる確率を,各位置からの再帰確率として計算する。 は到達可能な位置だけを後ろから平均すればよい。(3) では終点5,9,11,12それぞれを目標にした再帰値を作るが,文系版で求めた を利用し,追加で を同じ表の作り方で求めて比較する。
解法2(各マスへの到達確率を前向きに伝播する)
各数字が終了までに丸で囲まれる確率を,初手 と直前位置からの流入の和で表す。番号順に表を埋め,必要な をまとめて得る。
解答
解法1(目標終点から到達確率を逆向きに求める)
(1)
数字2が丸で囲まれるには,最初に2を選ぶか,最初に1を選び,次の操作で2を選ぶしかない。右または下にしか移動しないので,それ以外の位置から2へ移動することはできない。
1の位置から選べる数字は の7個である。したがって である。
(2)
数字 に石がある状態から始めて,終了時までに5が丸で囲まれる確率を とする。終了数字である5に着けば であり,5以外の終了数字9,11,12に着けばその後は5に行けないので確率は0である。
後ろから順に計算する。4からは5または9を選ぶので である。3からは4,5,8を選ぶので である。2からは3,4,5,7,11を選ぶので である。最後に1からは2,3,4,5,6,10,12を選ぶので である。
したがって,初めの選択が12個の数字から等確率であることより
である。
続いて を求める。
同様に,数字 に石がある状態から始めて,終了時までに11が丸で囲まれる確率を とする。まず である。
10からは11または12を選ぶので である。7からは8,9,11を選ぶので である。6からは7,8,9,10,12を選ぶので である。2からは3,4,5,7,11を選ぶので であり,1からは2,3,4,5,6,10,12を選ぶので である。
よって
である。
(3)
(2) で を得ている。残りの を求める。
まず,数字 から始めて9が丸で囲まれる確率を とする。後ろから計算すると
である。したがって
である。
次に,数字 から始めて12が丸で囲まれる確率を とする。12に到達できる位置だけを見ると
であり,その他の位置から12が丸で囲まれる確率は0である。よって
である。
以上より
であるから,最も大きいものの値は である。
解法2(各マスへの到達確率を前向きに伝播する)
(1)
数字 がゲーム終了時までに丸で囲まれる確率を とする。数字は右または下へしか移らず,同じ位置を二度通らない。したがって, から選べる候補数を , を1回の操作で移れることとして
が成り立つ。右辺には番号の小さい位置の確率しか現れないので, から順に計算できる。
例えば
である。同様に全位置を埋めると
を得る。したがって である。
(2)
表から である。
(3)
終点4個について なので,最大値は である。なお4個の和が1になることも,終了先の全確率を尽くしている検算になる。