Evolton

名古屋大学 2023年度 前期日程 一般選抜理系数学 第4問

nを正の整数とし,n次の整式Pn(x)=x(x+1)(x+n1)を展開して
Pn(x)=m=1nnBmxmと表す。

(1) 等式m=1nnBm=n!を示せ。

(2) 等式Pn(x+1)=m=1n(nBmmC0+nBmmC1x++nBmmCmxm)を示せ。ただし,mC0,mC1,,mCmは二項係数である。

(3) k=1,2,,nに対して,
等式j=knnBjjCk=n+1Bk+1を示せ。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安15

数列場合の数数と式 恒等式比較、二項定理、誘導利用

方針

(1) は係数和なので Pn(1) を計算する。(2) は Pn(x)=nBmxmx+1 を代入し,二項定理で各 (x+1)m を展開する。(3) は(2)の xk の係数を左辺として読み取り,一方で Pn(x+1)=(x+1)(x+2)(x+n)=Pn+1(x)/x と書いて右辺の係数を読む。次数が1つずれるため n+1Bk+1 になる点に注意する。

解答

(1) Pn(x)=m=1nnBmxmx=1 を代入すると Pn(1)=m=1nnBm である。一方,定義より Pn(1)=123n=n! である。したがって m=1nnBm=n! が成り立つ。

(2) Pn(x)=m=1nnBmxm であるから,xx+1 に置き換えると Pn(x+1)=m=1nnBm(x+1)m である。二項定理より (x+1)m=mC0+mC1x++mCmxm なのでPn(x+1)=m=1nnBm(mC0+mC1x++mCmxm)である。これは問題の等式そのものである。

(3)
(2)の右辺から xk の係数を読む。(x+1)j の中で xk の係数は,jk のとき jCkj<k のとき0である。したがって xk の係数は j=knnBjjCk である。

一方,定義から Pn(x+1)=(x+1)(x+2)(x+n) である。また Pn+1(x)=x(x+1)(x+2)(x+n) だから Pn(x+1)=Pn+1(x)x である。ここで Pn+1(x)=m=1n+1n+1Bmxm なので Pn+1(x)x=m=1n+1n+1Bmxm1 である。この式の xk の係数は,m1=k,すなわち m=k+1 に対応する n+1Bk+1 である。

同じ整式 Pn(x+1)xk の係数を比較して j=knnBjjCk=n+1Bk+1 を得る。

別解

別解(導関数で係数を直接取り出す)

方針

整式の xk の係数が k 階導関数の x=0 での値を k! で割ったものになることを使う。Pn(x+1)Pn の係数表示から微分した値と,Pn+1(x)/x の係数表示から読んだ値で比較する。

解答

(1) m=1nnBm=Pn(1)=12n=n!.(2)Pn(x)=m=1nnBmxm の両辺で xx+1 に替えればPn(x+1)=m=1nnBm(x+1)m.各項に二項定理を用いると,問題文の等式を得る。

(3)
整式 F(x)xk の係数は F(k)(0)/k! である。F(x)=Pn(x+1) とおくとF(k)(0)k!=1k!j=knnBjj!(jk)!=j=knnBjjCk.一方F(x)=Pn(x+1)=Pn+1(x)x=m=1n+1n+1Bmxm1.この整式の xk の係数は n+1Bk+1 である。二つの係数表示を比較してj=knnBjjCk=n+1Bk+1を得る。

総評

目安時間は15分。係数和への代入,二項展開,係数比較という誘導を正確に追う。標準の項別二項展開に加え,k 階導関数で xk の係数を抽出する方法でも恒等式を確認した。Pn(x+1)=Pn+1(x)/x により添字が1つずれる点が最重要である。

冊子PDFで見る名大の数列の問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 2023年度 一般選抜 前期日程 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。