方針
袋の中の球数が初めて5になるのは,2個目の赤球を取り出した直後である。最初の赤球が出るまでの間は状態が変わらず,赤球の確率は2/3。1個目の赤球の後は白球3個,赤球1個,合計4個となり,2個目の赤球の確率は1/4になる。(1)では1個目の赤球がj回目に出る場合で和を取る。(2)では得られたp(k)にkを掛けて和を取り,等比級数の微分型の和と,問題で与えられたnan→0を使って極限を求める。別解として,2つの待ち時間の平均を足す見方もできる。
解答
(1)
初めは白球1個,赤球2個で,合計3個である。白球を取り出したときは袋の状態は変わらない。赤球を取り出すと,その赤球は戻さず白球2個を入れるので,袋の中の球数は1個増える。
したがって袋の中の球の個数が初めて5になるのは,2個目の赤球が取り出された直後である。
1個目の赤球がj回目に出て,2個目の赤球がk回目に出るとする。このとき 1≦j≦k−1 である。最初のj−1回は白球を取り出し,j回目に赤球を取り出すので,その確率は (31)j−132 である。
1個目の赤球を取り出した後,袋の中は白球3個,赤球1個となる。したがって,その後k−j−1回は白球を取り出し,k回目に赤球を取り出す確率は (43)k−j−141 である。
よってp(k)=j=1∑k−1(31)j−132(43)k−j−141である。定数をまとめるとp(k)=61j=1∑k−1(31)j−1(43)k−j−1である。ここでr=j−1と置くとp(k)=61r=0∑k−2(31)r(43)k−2−rとなる。等比型の和よりr=0∑k−2(31)r(43)k−2−r=3/4−1/3(3/4)k−1−(1/3)k−1である。3/4−1/3=5/12だからp(k)=61⋅512{(43)k−1−(31)k−1}である。したがってp(k)=52{(43)k−1−(31)k−1}を得る。
(2)
(1)よりan=k=2∑nkp(k)=52{k=2∑nk(43)k−1−k=2∑nk(31)k−1}である。 0<r<1に対して k=1∑nkrk−1=(1−r)21−(n+1)rn+nrn+1 が成り立つ。問題で与えられたnrn→0を用いると n→∞limk=1∑nkrk−1=(1−r)21 である。したがって n→∞limk=2∑nkrk−1=(1−r)21−1 となる。 r=3/4では (1−r)21−1=16−1=15 であり,r=1/3では (1−r)21−1=49−1=45 である。よってn→∞limk=2∑nkp(k)=52(15−45)=52⋅455=211である。したがって 211 を得る。
別解
解法2
方針
最初と二つ目の赤球が出るまでの待ち時間を、それぞれ成功確率 2/3、1/4 の幾何分布とみる。確率母関数の積を部分分数分解して p(k) を取り出し、母関数の微分を 1 で評価して平均時刻を求める。
解答
(1)
最初の赤球が出るまでの待ち時間を X、その後に残る赤球が出るまでを Y とする。各試行回数を1から数えるとP(X=j)=32(31)j−1,P(Y=j)=41(43)j−1.状態が切り替わった後の試行はそれ以前に依存しないので、初めて5個になる時刻は T=X+Y である。
確率母関数はGX(z)=1−z/32z/3,GY(z)=1−3z/4z/4だからGT(z)=(1−z/3)(1−3z/4)z2/6.これを部分分数に分けて zk の係数を比較するとp(k)=P(T=k)=52{(43)k−1−(31)k−1}(k≧2).(2)
求める極限は T の期待値である。母関数を微分してもよいが、二つの幾何分布の平均を用いればE[X]=2/31=23,E[Y]=1/41=4.よってn→∞limk=2∑nkp(k)=E[T]=E[X]+E[Y]=211.
総評
二つの赤球が出るまでを状態遷移または二つの待ち時間として扱う問題。目安は20分。最初の赤球の後は白3・赤1となるため、成功確率が 2/3 から 1/4 に変わる。(2) は有限和の極限でも期待値でも求められるが、(1) の分布と結び付けて説明する。
冊子PDFで見る阪大の確率の問題で問題集を作る
出典: 大阪大学 1994年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。