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大阪大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

黒玉が2個入っている箱がある.
いま,次のような試行を繰り返す.
箱から無作為に玉を1個取り出す.
もし取り出した玉が黒玉ならばさいころを投げ,
出た目が4以下のときはそれをそのまま箱に戻し,
出た目が5以上のときはそれを白玉と取りかえて箱に戻す.
もし取り出した玉が白玉ならばそのまま箱に戻す.

n回目の試行が終わったとき箱に入っている白玉の数をXnとし,
Xn=kである事象{Xn=k}の起こる確率をP(Xn=k)で表す.

ただし,P(X0=0)=1とする.
次の問いに答えよ.

(1) 事象{Xn1=0}および{Xn1=1}のそれぞれのもとで
事象{Xn=1}の起こる条件つき確率を求めよ.

(2) P(Xn=1)P(Xn1=1)を用いて表せ.

(3) Xnの確率分布を求めよ.

(4) n回目の試行が終わったときに
箱に入っている白玉の数がはじめて2個になる確率を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安20

確率数列 条件付き確率、確率漸化式状態分類

方針

白玉の個数が 0,1,2 の場合に分け、黒玉を取り出してさらに 5 以上を出すときだけ白玉が一つ増えることを使う。P(Xn=0)P(Xn=1) の漸化式を作り、等比数列の和で解く。最後の「はじめて 2 個」は、直前に 1 個で最後の試行で増える場合に限られる。

解答

(1) Xn1=0 のとき、箱の中の二つはどちらも黒玉である。取り出した黒玉が白玉に替わるのは、さいころの目が 5 以上のときであり、その確率は 2/6=1/3 である。したがって P(Xn=1Xn1=0)=13 である。

次に Xn1=1 のとき、白玉は一つ、黒玉も一つである。Xn=1 のままであるのは、白玉を取り出す場合、または黒玉を取り出してもさいころの目が 4 以下の場合である。よってP(Xn=1Xn1=1)=12+1246=12+13=56である。

(2) Xn=1 となるには、直前が 0 個で今回 1 個に増えるか、直前が 1 個で今回も 1 個のままであるかのどちらかである。したがって P(Xn=1)=13P(Xn1=0)+56P(Xn1=1) である。

また、Xn=0 であり続けるには、各回で白玉への取り替えが起こらないことが必要十分である。Xj1=0 のとき取り替えが起こらない確率は 2/3 なので P(Xn=0)=(23)n である。よって (2) は P(Xn=1)=13(23)n1+56P(Xn1=1) とも書ける。

(3) qn=P(Xn=1) とおく。q0=0 であり、(2) より qn=13(23)n1+56qn1 である。これを繰り返すとqn=j=1n(56)nj13(23)j1となる。右辺は等比数列の和で、qn=13(56)n(23)n5623=2{(56)n(23)n}である。

したがって P(Xn=0)=(23)n, P(Xn=1)=2{(56)n(23)n},P(Xn=2)=1P(Xn=0)P(Xn=1)=12(56)n+(23)nである。よって確率分布はk012P(Xn=k)(23)n2{(56)n(23)n}12(56)n+(23)nである。

(4)

n 回目の試行が終わったときにはじめて白玉が2個になるには、
n1 回目終了時に白玉が1個で、n 回目に残りの黒玉が白玉へ替わればよい。
Xn1=1 のとき、その確率は1213=16である。したがって求める確率は16P(Xn1=1)=13{(56)n1(23)n1}.n=1 のときも右辺は0となり、実際の事象と一致する。

別解

解法2

方針

2個の元の黒玉を区別する。指定した玉が黒のまま残る確率と、
2個とも黒のまま残る確率を求め、包除的に白玉数の分布を出す。
初めて2個になる確率は、状態2が吸収状態であることから分布の差で求める。

解答

(1)

Xn1=0 なら必ず黒玉を選び、さいころが5以上のときだけ
Xn=1 になるからP(Xn=1Xn1=0)=13.Xn1=1 なら、白玉を選ぶ確率 1/2 と、
黒玉を選んで4以下を出す確率 (1/2)(2/3) を足してP(Xn=1Xn1=1)=56.(2)

全確率の公式からP(Xn=1)=13P(Xn1=0)+56P(Xn1=1).(3)

2個の元の黒玉を A,B と区別する。指定した玉が黒である間、
1回の試行で白へ替わる確率は1213=16.よってP(A が n 回後も黒)=P(B が n 回後も黒)=(56)n.2個とも黒である間、1回でどちらも黒のまま残る確率は 2/3 だからP(Xn=0)=(23)n.ちょうど1個が黒、すなわち Xn=1 である確率は2{(56)n(23)n}.残りからP(Xn=2)=12(56)n+(23)n.(4)

状態2は一度到達すると変わらない。したがって初めて n 回目に2個になる確率はP(Xn=2)P(Xn1=2)=13{(56)n1(23)n1}.

総評

白玉の個数だけを追えばよい確率漸化式の問題。目安時間は20分。(1) の条件つき確率、(2) の全確率の分解、(3) の等比数列の和が主な採点点になる。(4) は P(Xn=2) そのものではなく「はじめて」なので、直前が 1 個で最後に増える場合だけを数える。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、問題文の解釈、図示範囲を確認した。

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出典: 大阪大学 1996年度 前期 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。