Evolton

東京大学 1992年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

abを正の実数とする。
座標空間の4点P(0,0,0)Q(a,0,0)R(0,1,0)S(0,1,b)が半径1の同一球面上にあるとき,
PQRSを頂点とする四面体に内接する球の半径をrとすれば,次の二つの不等式が成り立つことを示せ。(1r1a1b)2203,1r223+253.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安28

ベクトル図形と方程式方程式・不等式 座標設定体積計算不等式評価、相加相乗平均

方針

まず4点が半径1の同一球面上にある条件を使う。P,R,Q,S の位置から球の中心は (a/2,1/2,b/2) と分かり,半径条件から a2+b2=3 が出る。次に四面体の体積と4つの面積を座標で求め,V=13rT により 1/ra,b で表す。残りは t=ab とおき,a2+b2=3 から t3/2 を使って,平方根を含む項と 1/a+1/b をそれぞれ下から評価する。

解答

4点 P,Q,R,S が同一球面上にあるとする。P(0,0,0)Q(a,0,0) から,球の中心の x 座標は a/2 である。同様に,PR(0,1,0) から y 座標は 1/2RS(0,1,b) から z 座標は b/2 である。よって中心は (a2,12,b2) である。半径が1であるから,中心から P までの距離について a2+1+b24=1 が成り立つ。したがって a2+b2=3 である。

四面体 PQRS の体積は,底面 PQR の面積が a/2,高さが b であるから V=13a2b=ab6 である。

4つの面の面積を求める。PQR の面積は a/2PRS の面積は b/2 である。またPQS の面積=12a1+b2,QRS の面積=12b1+a2である。よって表面積を T とすると T=12{a+b+a1+b2+b1+a2} である。

内接球の半径を r とすると,四面体の体積は各面を底面とする4つの三角錐の体積の和だから V=13rT である。したがって ab6=r6{a+b+a1+b2+b1+a2} であり,1r=1a+1b+1+1a2+1+1b2 を得る。

ここで F=1+1a2+1+1b2 とおく。示すべき1つ目の不等式は F220/3 である。t=ab とおくと,a2+b2=3 より t32 である。また 1a2+1b2=a2+b2a2b2=3t2 であり,(1+1a2)(1+1b2)=1+1a2+1b2+1a2b2=1+4t2である。よって F2=2+3t2+21+4t2 である。t3/2 から 3t243,1+4t253 なので F22+43+253=203 である。すなわち(1r1a1b)2203が成り立つ。

次に2つ目を示す。a,b>0 であるから (1a+1b)2=3t2+2t である。0<t3/2 より右辺は 3t2+2t43+43=83 を満たす。したがって 1a+1b223 である。また1つ目で示した評価から F253 である。よって 1r=1a+1b+F223+253 であり,1r223+253 が示された。

総評

外接球の条件,内接球半径,空間図形の面積計算を組み合わせる問題である。目安時間は28分。中心を (a/2,1/2,b/2) と見抜いて a2+b2=3 を出すところが第一段階である。次に,表面積の4項を正しく出して 1/r の式に整理できるかが山場になる。不等式部分は t=ab と置くと,t3/2 だけで下から評価できる。等号は a=b のときに対応する。

冊子PDFで見る東大のベクトルの問題で問題集を作る

出典: 東京大学 1992年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。