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東京大学 1993年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第2問

xy平面において,直線lと点Aの距離をd(l,A)と書くことにする.
さらに,相異なる3点A=(x1,y1)B=(x2,y2)C=(x3,y3)が与えられたときf(l)=d(l,A)2+d(l,B)2+d(l,C)2とおく.

(1) ある与えられた直線に平行な直線のうち,
f(l)を最小にする直線l0は三角形ABCの重心を通ることを示せ.

(2) 異なる3本の直線がf(l)を最小にするならば,
三角形ABCは正三角形であることを示せ.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

ベクトル図形と方程式論証・証明 座標設定微分による最大最小必要十分条件

方針

固定方向の直線を単位法線ベクトルで表し、切片について平方和を完成させる。(2)は重心を原点に移し、方向ごとの最小値を二次形式として表す。3方向で最小なら方向に依存しないことを示し、座標条件から正三角形を導く。

解答

(1) 与えられた方向に垂直な単位ベクトルを u とし、平行な直線をux=hと表す。点 A,B,C の位置ベクトルを a,b,c、重心を g=(a+b+c)/3 とするとf(l)=v=a,b,c(uvh)2.m=ug と置いて平方を完成するとf(l)=(uvm)2+3(hm)2.よって最小となるのは h=m、すなわち直線が重心を通るときである。

(2) 重心を原点として A=(r,0),B=(u,v),C=(ru,v) と置く。3点は相異なり三角形を作るので、座標軸を選べば r>0, v0 としてよい。

重心を通り単位法線が (cosθ,sinθ) の直線に対する最小値はF(θ)=X=A,B,C(xXcosθ+yXsinθ)2.これは F(θ)=K+Lcos2θ+Msin2θ の形である。定数でなければ、0θ<π で最小にする方向は1つしかない。異なる3本が最小にするなら F は定数であり、xX2=yX2,xXyX=0.後式は v(r+2u)=0 だから u=r/2。前式は3r22=2v2だから v2=3r2/4 である。従ってA=(r,0),B=(r2,±3r2),C=(r2,3r2),となり、3辺の長さは等しい。よって三角形 ABC は正三角形である。

別解

解法2

方針

(1) は平行移動量だけを未知数として3つの符号付き距離の分散公式を使う。
(2)は重心を原点に移し、方向 θ に対する最小値が
A+Bcos2θ+Csin2θ となることを利用する。3方向で
最小なら方向依存項が消えるので、底辺を水平に置いて正三角形を導く。

解答

(1)

与えられた方向に垂直な単位ベクトルを
n とし、平行な直線をnx=hと表す。3点の位置ベクトルを
a,b,c、重心をg=(a+b+c)/3 とする。m=ng と置けば、分散公式によりf(l)=(nah)2+(nbh)2+(nch)2=(nam)2+(nbm)2+(ncm)2+3(hm)2.最後の項だけが直線の平行移動で変わるから、唯一の最小は
h=m である。これは直線が重心を通ることを意味する。

(2)

(1) により、各方向で候補となる直線は重心を通る1本だけである。
重心を原点とし、各点を (xi,yi) とする。法線の偏角を
θ とするとF(θ)=i=13(xicosθ+yisinθ)2=A+Bcos2θ+Csin2θと書ける。B,C の少なくとも一方が0でないなら、この関数が
最小になる方向は 0θ<π に1つしかない。異なる3本が
全直線中の最小値を取るならB=C=0,すなわちxi2=yi2,xiyi=0でなければならない。

AB を水平に置きA=(d,0),B=(d,0),C=(s,t)(d>0, t0)とする。重心を引いた3点に上の2条件を適用するとxiyi=2st3=0から s=0 である。さらにxi2=2d2,yi2=2t23だから t2=3d2 となる。したがってAB2=4d2,AC2=BC2=d2+t2=4d2.よって三角形 ABC は正三角形である。

正三角形では、重心を通るすべての方向で同じ最小値を取る。

総評

難度8、計算量7、目安25〜30分。(1)は固定方向で切片だけを最小化し、(2)は方向も含む全直線の最小化へ進む二段階の問題である。2解法で重心を通る唯一性、方向関数の2倍角表示、3方向の最小が等方性を強制することを照合し、座標条件から3辺が等しいことまで示した。

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出典: 東京大学 1993年度 後期日程 第2次学力試験 理系(後期) 後期 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。