方針
(1) は et−t−1 の増減で示す。(2)は分母を有理化して cos2x1−sinx とする。(3)は (1) を t=−sinx と t=sinx に使い,下側は 1−sinx,上側は 1/(1+sinx) で評価する。
解答
(1)
ϕ(t)=et−t−1 とおくと,ϕ′(t)=et−1 である。したがって t<0 で ϕ′(t)<0,t>0 で ϕ′(t)>0 であり,ϕ(t) は t=0 で最小値 0 をとる。よってすべての実数 t に対して1+t≦etである。
(2) 1+sinx1=cos2x1−sinxであるから∫04π1+sinx1dx=∫04π(cos2x1−cos2xsinx)dx=[tanx−cosx1]04π=2−2である。
(3)
(1)で t=−sinx とすると1−sinx≦e−sinxである。よって∫04πe−sinxdx≧∫04π(1−sinx)dx=4π−1+22である。
また,(1)で t=sinx とすると esinx≧1+sinx であるからe−sinx≦1+sinx1である。したがって (2) より∫04πe−sinxdx≦2−2である。以上より求める不等式が示された。
別解
解法2
方針
(1) では指数関数のグラフが t=0 における接線の上側にあることを、2階微分で確認する。(2)では被積分関数を、tanx−secx の導関数として一度に見抜く。
解答
(1) F(t)=et−(1+t)とおくとF′′(t)=et>0.したがって F′(t) は単調増加しF′(0)=0だから、F は t<0 で減少し、t>0 で増加する。ゆえにF(t)≧F(0)=0,すなわち1+t≦et.これは y=et が t=0 における接線 y=1+t の上側にあることを表す。
(2) dxd(tanx−cosx1)=cos2x1−cos2xsinx=cos2x1−sinx=1+sinx1.したがって∫04π1+sinx1dx=[tanx−cosx1]04π=(1−2)−(0−1)=2−2.(3)
(1) に t=−sinx を代入すると1−sinx≦e−sinx.よって∫04πe−sinxdx≧∫04π(1−sinx)dx=4π−1+22.一方、(1)に t=sinx を代入すると1+sinx≦esinx.両辺は正なので逆数をとってe−sinx≦1+sinx1.したがって (2) より∫04πe−sinxdx≦∫04π1+sinx1dx=2−2.以上で両側の不等式が示された。
総評
難度5,計算量4。想定時間は12分程度。(1)の指数不等式を上下評価の両方に使う誘導問題である。(2)の有理化と,(3)で不等号の向きを取り違えないことが採点上の要点である。 積分は問題文・方針・解答のすべてで独立表示にし、別解では原始関数を直接微分して符号を検算できる構成にした。
冊子PDFで見る広大の微分の問題で問題集を作る
出典: 広島大学 2018年度 前期 理系数学 第3問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。