方針
積分方程式の右辺ではxに依存する部分がe−xだけなので,g(a)=∫−aaf(t)sintdtとおくとf(x)=e−x+g(a)になる。これを定義式へ戻すとg(a)=∫−aae−tsintdtで決まる。(2)は得られたg(a)={(ea−e−a)cosa−(ea+e−a)sina}/2を微分し,g′(a)=−(ea−e−a)sinaの符号から0<a≦2πでの増減を調べる。
解答
(1) g(a)=∫−aaf(t)sintdt とおく。問題の式では,右辺の積分の中でxに依存するのはe−x/(2a)だけであるから f(x)=∫−aa2ae−xdt+∫−aaf(t)sintdt である。第1項は ∫−aa2ae−xdt=e−x なので f(x)=e−x+g(a) である。
これをg(a)の定義に代入すると g(a)=∫−aa{e−t+g(a)}sintdt である。sintは奇関数なので ∫−aag(a)sintdt=0 である。したがって g(a)=∫−aae−tsintdt である。ここで ∫e−tsintdt=−2e−t(sint+cost) だからg(a)=[−2e−t(sint+cost)]−aa=2(ea−e−a)cosa−(ea+e−a)sinaである。よって f(x)=e−x+2(ea−e−a)cosa−(ea+e−a)sina である。
(2)
(1)で得た g(a)=2(ea−e−a)cosa−(ea+e−a)sina を0<a≦2πで最小にする。微分するとg′(a)=2(ea+e−a)cosa−(ea−e−a)sina−2(ea−e−a)sina+(ea+e−a)cosa=−(ea−e−a)sinaである。a>0ではea−e−a>0なので,g′(a)の符号は−sinaの符号で決まる。
したがってg(a)は(0,π)で減少し,(π,2π)で増加する。よって最小となるのは a=π のときであり,最小値はg(π)=2(eπ−e−π)cosπ−(eπ+e−π)sinπ=−2eπ−e−πである。
別解
解法2
方針
未知関数を含む定積分をxによらない定数g(a)として分離し,f(x)=e−x+g(a)を得て定義へ戻す。対称区間とsintの奇関数性からg(a)だけの項を消す。(2)では閉じた式を先に微分せず,h(t)=e−tsintとして積分区間の両端が動くときの変化からg′(a)=h(a)+h(−a)を求め,符号と端点を調べる。
解答
(1) g(a)=∫−aaf(t)sintdtとおくと,問題の式からf(x)=e−x+g(a)である。これをg(a)へ代入すると,対称区間上でsintの積分が0になるためg(a)=∫−aae−tsintdt.よってg(a)=2(ea−e−a)cosa−(ea+e−a)sinaであり,f(x)=e−x+g(a)となる。
(2)
h(t)=e−tsintとおく。積分区間の両端の変化を考えるとg′(a)=h(a)+h(−a)=−(ea−e−a)sina.a>0ではea−e−a>0だから,gは(0,π)で減少し,(π,2π)で増加する。したがって最小はa=πで,g(π)=−2eπ−e−πである。
総評
難度6,計算量5。目安時間は22分で,見通しが立てば標準的な得点源である。主な採点点は,未知関数を含む積分をxによらない定数g(a)として分離すること,対称区間でsintの積分が0になること,g′(a)=−(ea−e−a)sinaから増減を正しく読むことである。積分変数tと外側の変数xを混同しないこと,a>0で指数部分が正であること,端点2πも比較対象に含めることが重要である。答案は定数分離,g(a)の表示,導関数の符号,最小値の代入の4段に分けると明快になる。
冊子PDFで見る北大の積分の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 2016年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。