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京都大学 1984年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

空間に三角形ABCがあるとし,空間の原点Oは,この三角形が決定する平面上にはないとする.

(1) 実数uvwが,
等式uOA+vOB+wOC=0を満たすならば,
u=v=w=0であることを示せ.

(2)BCCAABの長さを,それぞれabcとし,三角形ABCの内接円の中心をPとすると,
等式OP=uOA+vOB+wOCが成立するという.
uvwabcを用いて表せ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安16

ベクトル図形と方程式 ベクトル成分計算、面積比、一意性証明

方針

(1) は、係数和 u+v+w0 でない場合には O が平面 ABC 上にあることになり、係数和が 0 の場合には CACB の平行でないことに帰着する。(2) は、内心から三辺への距離が等しいので、三角形 PBC,PCA,PAB の面積比が a:b:c になることを使い、面積比による係数表示で u,v,w を決める。

解答

(1) uOA+vOB+wOC=0 とする。

まず u+v+w0 と仮定する。このとき0=uu+v+wOA+vu+v+wOB+wu+v+wOCであり、右辺の係数の和は 1 である。これは、原点 O が三角形 ABC の決める平面上にあることを意味する。しかしこれは仮定に反する。よって u+v+w=0 でなければならない。

そこで w=uv とすると、uOA+vOB(u+v)OC=0すなわちu(OAOC)+v(OBOC)=0である。これは uCA+vCB=0 を意味する。

三角形 ABC が作られているので、CACB は平行ではない。したがって u=0,v=0 であり、さらに w=uv=0 である。よって u=v=w=0 が示された。

(2)
内接円の半径を r とする。内心 P から三辺 BC,CA,AB への距離はいずれも r であるから、三角形 PBC,PCA,PAB の面積はそれぞれ 12ar,12br,12cr である。したがって面積比は [PBC]:[PCA]:[PAB]=a:b:c である。

三角形の内部の点 P について、面積比による係数表示を用いるとOP=[PBC][ABC]OA+[PCA][ABC]OB+[PAB][ABC]OCである。ここで [ABC]=[PBC]+[PCA]+[PAB] だから、上の面積比 a:b:c よりOP=aa+b+cOA+ba+b+cOB+ca+b+cOCとなる。

よってu=aa+b+c,v=ba+b+c,w=ca+b+cである。

内心から3辺への高さが等しいため、小三角形の面積比は a:b:c

別解

解法2

方針

(1) は係数和が0か否かで分けて平面条件に帰着する。
(2)では a:b:c を重みとする点を先に作り、その点が
A,B からの内角二等分線上にあることを示して内心と同定する。

解答

(1)
与えられた等式で u+v+w0 なら、係数をその和で割ることで
原点 O が平面 ABC 上の点として表され、仮定に反する。
よって u+v+w=0。するとuCA+vCB=0.CA,CB は平行でないから
u=v=0、したがって w=0 である。

(2)
次の点 Q を考える。OQ=aOA+bOB+cOCa+b+c.BC 上で BD:DC=c:b となる点を D とするとOD=bOB+cOCb+c.よって Q は直線 AD 上にある。角の二等分線定理から
ADA の二等分線である。同様に Q
B の二等分線上にもあるから、Q=P である。
したがってu=aa+b+c,v=ba+b+c,w=ca+b+c.

総評

空間内の位置関係を、平面上にあるかどうかで処理する前半と、内心の面積比表示を使う後半からなる。目安時間は16分。(1) の結果により係数表示の一意性も保証されるので、(2) では面積比 a:b:c を確実に係数へつなげる。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。

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出典: 京都大学 1984年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。