方針
偶数の目が出る回数を X と見ると,X は 2n 回中の成功回数で,成功確率は 1/2 である。分布は n を中心に対称なので,P(X≧n) は 1/2 に中央項の半分を足した値になる。あとは中央項 2nCn/22n が 1/(2n) 以上であることを,隣り合う比を使った帰納法で示す。
解答
2n 回のうち偶数の目が出る回数を X とする。1回のさいころ投げで偶数が出る確率は 1/2 なので P(X=k)=22n2nCk である。
奇数と偶数を入れ替える対応により,X=k と X=2n−k の確率は等しい。したがって P(X>n)=P(X<n) であり,1=P(X<n)+P(X=n)+P(X>n) から pn=P(X≧n)=21+21P(X=n) を得る。すなわち pn=21+21⋅22n2nCn である。
ここで rn=22n2nCn とおく。示したいことは rn≧1/(2n) である。まず r1=42=21 なので成り立つ。次にrnrn+1=22n+22n+2Cn+1⋅2nCn22n=(n+1)2(2n+2)(2n+1)⋅41=2n+22n+1である。rn≧1/(2n) と仮定すると rn+1≧2n1⋅2n+22n+1 であり,右辺は 2n(2n+2)2n+1≧2n+21 を満たす。よって帰納法により,すべての自然数 n で rn≧2n1 である。
したがってpn=21+21rn≧21+21⋅2n1=21+4n1となる。これで示された。
別解
解法2
方針
二項分布の対称性で中央項を分離する。中央二項係数の下界は、2n−1個の集合の部分集合数を大きさ別に分け、最大の階級が平均以上であることから評価する。
解答
偶数の目の回数をXとする。分布の対称性よりpn=Pr(X≧n)=21+21Pr(X=n)=21+21⋅22n2nCn.ここで2n−1Ckはk=n−1,nで最大である。またk=0∑2n−12n−1Ck=22n−1で、項は2n個ある。最大項は平均以上だから2n−1Cn−1≧2n22n−1.さらに2nCn=22n−1Cn−1なので22n2nCn≧2n1.したがってpn≧21+4n1.
総評
難度は10段階中5、計算量は10段階中4。目安時間は15分から18分。確率そのものを直接足し上げるより,二項分布の対称性で中央項だけを取り出すのが要点である。中央項の評価 2nCn/22n≧1/(2n) は一見細かいが,隣り合う比 (2n+1)/(2n+2) を書くと帰納法で短く処理できる。最後に中央項の半分が加わることを忘れないこと。 2解法の結論を照合し、定義域、端点、必要十分性、等号条件を再確認した。図は論証を補助するものに限定し、縮尺に依存しない式も併記している。
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出典: 京都大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。