Evolton

京都大学 2008年度 前期日程 第2次学力試験理系(乙)数学 第2問

正四面体ABCDを考える.
Pは時刻0では頂点Aに位置し,1秒ごとにある頂点から他の3頂点のいずれかに,等しい確率で動くとする.
このとき,時刻0から時刻nまでの間に,4頂点ABCDのすべてに点Pが現れる確率を求めよ.
ただしnは1以上の整数とする.

難易度5/ 10計算量3/ 10目安15

確率 包除原理、数え上げ状態分類

方針

時刻0で A はすでに訪問済みなので,時刻1から n までに B,C,D がすべて現れる確率を求める。全経路は各秒3通りで 3n 通り。B,C,D のうち訪問されない頂点がある経路を包除原理で引く。1つの頂点を避ける経路は毎回2通り,2つの頂点を避ける経路は2頂点間を交互に動く1通りである。

解答

時刻0で点 PA にいるので,A はすでに現れている。したがって,時刻1から時刻 n までの間に B,C,D の3頂点がすべて現れる確率を求めればよい。

各秒ごとに,現在いる頂点以外の3頂点のどれかへ移るので,全経路数は 3n 通りである。 B,C,D のうち,少なくとも1つが現れない経路を包除原理で数える。例えば B が一度も現れない経路を考える。このとき点 PA,C,D の3頂点だけを動く。これらのどの頂点にいても,B を避けて次に動く先は2通りあるので,そのような経路は 2n 通りである。避ける頂点は B,C,D の3通りだから,1つの頂点を避ける条件の和は 32n である。

次に,例えば BC がどちらも現れない経路を考える。このとき動ける頂点は AD だけであり,時刻0で A にいるので,その後は A,D,A,D, と交互に動くしかない。したがって経路は1通りである。避ける2頂点の選び方は 3C2=3 通りである。

3つすべて B,C,D を避けることは,1秒後にどこかへ移らなければならないため不可能である。よって,時刻1から n までに B,C,D がすべて現れる経路数は 3n32n+3 である。

したがって求める確率は 3n32n+33n である。n=1,2 では分子が0になり,3頂点すべてを訪れるには少なくとも3秒必要であることとも一致する。

別解

解法2(訪問済み頂点数の漸化式)

方針

3n 経路を、時刻 n までに訪れた頂点が2個・3個・4個のものへ分ける。ちょうど2頂点を訪れた経路数は常に3。ちょうど3頂点を訪れた経路数の漸化式を解き、全経路数から引く。

解答

n1 とする。時刻 n までに訪れた頂点がちょうど2個、3個、4個である経路数を、それぞれ bn,cn,dn とする。

ちょうど2頂点だけを訪れるには、AB,C,D のいずれか1頂点との間を交互に動くしかない。相手の選び方が3通りあるのでbn=3である。

ちょうど3頂点を訪れた経路が次の1秒後にも3頂点だけを訪れるには、現在位置以外の訪問済み2頂点のどちらかへ動けばよいので2通りである。また、ちょうど2頂点を訪れた経路から新しい1頂点へ動く方法も2通りである。したがってcn+1=2cn+2bn=2cn+6,c1=0.これを解くとcn=32n6となる。

時刻 n までの全経路数は 3n 通りであり、n1 では訪問頂点数は2、3、4のいずれかである。よってdn=3nbncn=3n3(32n6)=3n32n+3.したがって求める確率はdn3n=3n32n+33nである。

矢印上の数は、次の頂点の選び方の数。

総評

訪問済み頂点を数える確率問題で,時刻0の A を最初から訪問済みとして扱うのが第一歩である。想定時間は12分から15分,難易度は5,計算量は3程度。包除原理では,1頂点を避ける場合は毎回2通りだが,2頂点を避ける場合は残った2頂点間を交互に動く1通りしかない。この違いを混同しないことが重要である。n=1,2 でも式が0を返すため,場合分けを追加しなくてよい。

冊子PDFで見る京大の確率の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 2008年度 前期 数学(理系甲・理系乙)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。