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九州大学 1982年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

整数を係数とする3次の整式f(x)=x3+ax2+bx+cについて、次の命題を証明せよ。

(1) 有理数 α が方程式 f(x)=0 の解ならば、α は整数である。

(2) ある自然数 k>1 に対して、k 個の整数f(1),f(2),,f(k)のどれもが k で割り切れなければ、方程式 f(x)=0 は有理数の解をもたない。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安24

整数数と式論証・証明 背理法、合同式、展開・因数分解

方針

有理数解を既約分数で表し、分母が分子の3乗を割ることから分母が1だと示す。(2)では整数解を k で割った剰余類へ移して矛盾を導く。

解答

(1) α=m/n を既約分数とし、n>0 とする。f(α)=0 の両辺に n3 を掛けるとm3+am2n+bmn2+cn3=0.したがってm3=n(am2+bmn+cn2).ゆえに nm3 である。ところが m,n は互いに素だから、n=1 でなければならない。よって α=m は整数である。

(2) 有理数解があると仮定する。(1)より整数解 m がある。1,2,,k の中には mk を法として合同な数 r が一つある。整数係数の整式へ合同な整数を代入した値も合同だからf(m)f(r)(modk).f(m)=0 より kf(r) となり、仮定に反する。したがって有理数解は存在しない。

別解

解法2(分母の素因数と整式の差を使う)

方針

分母が1でないと仮定し、その素因数を一つ選んで矛盾させる。(2)では f(m)f(r)mr で割り切れるという整式の基本性質を直接用いる。

解答

(1) α=m/n を既約分数、n>0 とする。もし n>1 なら、n の素因数 q を一つ取れる。

f(m/n)=0n3 を掛けた式m3+am2n+bmn2+cn3=0q で考える。第2項以降はすべて q で割り切れるので、m3q で割り切れる。したがって qm となるが、qn でもあるため既約性に反する。よって n=1、すなわち α は整数である。

(2) 有理数解があるなら、(1)より整数解 m がある。mr(modk) となる r{1,ldots,k} を選ぶ。

整式の差はf(m)f(r)=(mr)Gと書ける。ここで G は整数である。k(mr) だからk{f(m)f(r)}.しかも f(m)=0 なので kf(r) となる。これは仮定に反するから、有理数解はない。

総評

難度5、計算量4、目安24分。最高次係数が1であることが、有理数解の分母を1に限定する鍵である。既約分数の割り切りと、分母の素因数による反証の二通りを示した。(2)は合同式による説明に加え、f(m)f(r)mr の倍数になることからも直接証明した。

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出典: 九州大学 1982年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。