方針
三つの変換を行列で表して作用順に合成する。(2)は逆行列を直接計算し、(3)は像の座標を展開して距離の2乗が変わらないことを示す。
解答
(1) 三つの変換の行列は順にtE,(100−1),(0−1−10)である。作用する順に右から掛けるのでT=(0−1−10)(100−1)tE=(0−tt0).(2)E+T=(1−tt1),(E+T)−1=1+t21(1t−t1).したがって(E−T)(E+T)−1=1+t21(1−t22t−2t1−t2).(3) (2)の行列を B とし、P=(x,y)、Q=(u,v) とする。このときu=1+t2(1−t2)x−2ty,v=1+t22tx+(1−t2)y.展開すると交差項が消えてu2+v2=(1+t2)2{(1−t2)2+4t2}(x2+y2)=x2+y2.よって ∣OQ∣=∣OP∣ である。
別解
解法2(座標変換と回転の形を使う)
方針
(1) は点の座標を変換ごとに直接追う。(2)の行列の成分を c,s と置き、c2+s2=1 から回転行列であることを見抜いて距離保存を示す。
解答
(1) 点 (x,y) は三つの変換によって(x,y)⟼(tx,ty)⟼(tx,−ty)⟼(ty,−tx)と移る。したがってT=(0−tt0).(2) E+T の逆行列を求めて掛ければ(E−T)(E+T)−1=1+t21(1−t22t−2t1−t2).(3) ここでc=1+t21−t2,s=1+t22tとおく。直接計算するとc2+s2=1.したがって、ある角 θ によって c=cosθ、s=sinθ と表せる。(2)の行列は(cs−sc)となり、原点を中心とする回転を表す。回転は原点からの距離を変えないから∣OP∣=∣OQ∣.
総評
難度6、計算量6、目安30分。原問題が行列を明示するため、この1問だけ行列を用いた。合成順序を行列積で追う標準答案と、座標を逐次移して回転の形を読む別解を示した。(3)は転置行列などへ進まず、座標の2乗和または回転行列の高校範囲の性質で証明した。
冊子PDFで見る九大の行列の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 1982年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。