方針
導関数 f′(x)=3x2−2kx+k が異なる2つの実数解をもつことが、極大値と極小値をもつ条件である。2つの停留点を α<β とすると、3次関数の係数が正なので α で極大、β で極小になる。極値差は値を直接代入するより、f′(x)=3(x−α)(x−β) を [α,β] で積分して求めると計算が整理される。得られた式を 4∣k∣3 と等置し、極値をもつ範囲で解を選ぶ。
解答
f(x)=x3−kx2+kx+1 とおく。導関数は f′(x)=3x2−2kx+k である。極大値と極小値をもつためには、f′(x)=0 が異なる2つの実数解をもつ必要がある。したがって判別式より (−2k)2−4⋅3⋅k>0 すなわち 4k(k−3)>0 である。よって、極値をもつための範囲は k<0 または k>3 である。
この範囲で、f′(x)=0 の2解をα=3k−k(k−3),β=3k+k(k−3)とおく。α<β であり、3次関数の最高次係数は正なので、x=α で極大、x=β で極小をとる。
ここで f′(x)=3(x−α)(x−β) である。区間 α<x<β では f′(x)<0 だから f(α)−f(β)=−∫αβf′(x)dx である。d=β−α とおくと d=32k(k−3) であり、u=x−2α+β と置き換えると (x−α)(x−β)=u2−4d2 となる。したがってf(α)−f(β)=∫−d/2d/23(4d2−u2)du=2d3=274{k(k−3)}3/2である。
条件より 274{k(k−3)}3/2=4∣k∣3 である。k=0 なので、両辺を4で割って整理すると {k(k−3)}3/2=27∣k∣3 となる。極値をもつ範囲では k(k−3)>0 であり、これは ∣k∣3/2∣k−3∣3/2=27∣k∣3 と書ける。さらに ∣k∣3/2 で割って、両辺を 2/3 乗すると ∣k−3∣=9∣k∣ を得る。 k<0 のときは 3−k=−9k より k=−83 である。これは k<0 を満たす。k>3 のときは k−3=9k より k=−83 となり、k>3 に反する。したがって k=−83 である。
別解。極値差の計算だけは、x=3k+u と平行移動してもよい。このとき f′(x)=3u2−3k(k−3) であるから、停留点は u=±3k(k−3) である。中央から左右対称な2点の間で −f′(x) を積分すれば、上と同じく f(α)−f(β)=274{k(k−3)}3/2 が直ちに出る。
別解
解法2
方針
導関数の軸が x=k/3 であることを利用し、x=k/3+u と平行移動する。2つの停留点が u=±a と対称に現れるため、極値差を中央対称な区間の積分で一度に求める。
解答
導関数はf′(x)=3x2−2kx+kである。異なる2つの実数解をもつ条件は4k(k−3)>0だから、まず k<0 または k>3 が必要である。
x=k/3+u とおくとf′(x)=3u2−3k(k−3)=3(u2−a2),a=3k(k−3)となる。停留点は u=−a,a であり、その間では f′(x)<0 である。したがって極大値と極小値の差は−∫−aa3(u2−a2)du=3∫−aa(a2−u2)du=4a3=274{k(k−3)}3/2である。条件より274{k(k−3)}3/2=4∣k∣3である。両辺を4で割って 2/3 乗するとk(k−3)=9k2を得る。極値をもつ場合は k=0 なので、整理してk=−83となる。これは k<0 を満たすから、求める値は k=−3/8 である。
総評
難度5、目安時間22分。最初に極値をもつ条件 k<0 または k>3 を出しておくことが重要である。極値差を直接代入で計算すると式が膨らむため、導関数を積分して「山から谷までの減少量」として求めると見通しがよい。条件式の整理では k の符号をまたぐので、(k−3)3=729k3 のように符号を潰して進めると候補範囲を誤りやすい。最後は必ず k<0、k>3 の場合分けで確認する。
冊子PDFで見る九大の微分の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 2019年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。