Evolton

名古屋大学 1995年度 前期日程 第2次学力試験 整数・図形と方程式理系数学 第4問(b)

xy平面上の三角形ABCが次の2条件を満たしているとする.

a) 各頂点のx座標,y座標はともに整数である.

b) 3辺の長さabcもすべて整数である.

このときa+b+cおよびa2+b2+c2はともに偶数であることを示せ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安15

整数図形と方程式論証・証明 偶奇性、座標設定、同値変形

方針

格子点同士を結ぶ線分の長さ l が整数であるとき,ll2 の偶奇は同じである。一方,座標差を u,v とすれば l2=u2+v2u+v(mod2) である。三角形の3辺についてこの合同式を足すと,座標差が一周して消えるので,3辺の長さの和も2乗の和も偶数になる。

解答

2つの格子点 (x1,y1),(x2,y2) の距離を l とする。座標差を u=x1x2,v=y1y2 とおけば l2=u2+v2 である。整数 m については m2m(mod2) が成り立つので l2=u2+v2u+v(mod2) である。また,問題の仮定より l は整数であるから l2l(mod2) である。したがって l(x1x2)+(y1y2)(mod2) である。

三角形の頂点を A=(xA,yA),B=(xB,yB),C=(xC,yC) とする。辺 AB,BC,CA の長さをそれぞれ c,a,b とすれば,上の合同式から c(xAxB)+(yAyB)(mod2), a(xBxC)+(yByC)(mod2), b(xCxA)+(yCyA)(mod2) である。3式を足すと,右辺の座標差はすべて打ち消し合うので a+b+c0(mod2) である。したがって a+b+c は偶数 である。

さらに,整数については m2m(mod2) であるから a2+b2+c2a+b+c0(mod2) である。よって a2+b2+c2 も偶数 である。

x+y の偶奇による格子点の色分け

別解

解法2

方針

格子点を x+y の偶奇で2色に塗る。整数距離の辺が奇数となる条件を
「両端の色が異なる」と読み替え、閉じた三角形で色が変わる回数を数える。

解答

格子点 (x,y)x+y の偶奇で2色に分ける。2点の座標差を u,v、整数である距離を l とするとl2=u2+v2u+v(mod2).また l2l(mod2) なので、l が奇数であることと
2端点の x+y の偶奇が異なることは同値である。

三角形 ABC を一周すると出発点の色へ戻る。したがって色が変わる辺の本数、
すなわち奇数長の辺の本数は偶数である。よってa+b+c0(mod2).さらに整数 m について m2m(mod2) だからa2+b2+c2a+b+c0(mod2).したがって2つの和はいずれも偶数である。

総評

難度は10段階中5、計算量は10段階中4。目安時間は15分から18分。格子点問題では,長さそのものよりも長さの2乗を偶奇で見るのが有効である。u2u(mod2) を使うと,辺の長さの偶奇が座標差の和の偶奇に変わる。3辺を足したときに座標差が一周して消えることを明確に書ければ,a+b+c の偶数性が出る。2乗和は,整数 m について mm2 の偶奇が同じであることを最後に添えればよい。 2解法の結論を照合し、条件の必要十分性、端点、符号、定義域、等号成立条件を再確認した。図は論証を補助するものに限定し、縮尺に依存しない式による説明も併記している。

冊子PDFで見る名大の整数の問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 1995年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第4問(b)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。