Evolton

名古屋大学 1997年度 前期日程 第2次学力試験 整数・数と式文系数学 第3問(b)

多項式f(x)=x3+ax2+bx+cabcは実数)を考える.
f(1)f(0)f(1)がすべて整数ならば,
すべての整数nに対し,f(n)は整数であることを示せ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安15

整数数と式論証・証明 式変形、偶奇性、同値変形

方針

まずf(1),f(0),f(1)から、c, a+b, abが整数であることを取り出す。任意の整数nについて、an2+bn(a+b)n(n+1)/2(ab)n(n1)/2の和に変形する。連続する2整数の積が偶数であることを使えば、各項の整数性が従う。

解答

u=a+b,v=ab とおく。仮定より f(0)=c は整数である。また f(1)=1+a+b+c=1+u+c が整数で、すでにcが整数なのでuも整数である。さらに f(1)=1+ab+c=1+v+c が整数であるから、vも整数である。

任意の整数nについて、f(n)=n3+an2+bn+c である。ここで a=u+v2,b=uv2 なので an2+bn=u+v2n2+uv2n=un(n+1)+vn(n1)2 である。したがって f(n)=n3+c+un(n+1)+vn(n1)2 と表せる。 nが整数なら、n(n+1)n(n1)はいずれも連続する2整数の積なので偶数である。u,v,cは整数であるから、右辺は整数である。よって、すべての整数nに対して f(n) は整数である。

別解

解法2

方針

最高次の整数係数部分を除いて g(x)=f(x)x3 と置く。2次多項式 g1,0,1 の値から補間すると、任意の整数 n における係数がすべて整数になる。a,b を個別に決定しない補間公式による証明である。

解答

g(x)=f(x)x3と置くと、g は2次以下の多項式であり、g(1),g(0),g(1)はいずれも整数である。

2次以下の多項式は3点での値によって決まり、1,0,1 を使った補間式はg(x)=x(x+1)2g(1)+(1x2)g(0)+x(x1)2g(1)である。実際、右辺は2次以下で、x=1,0,1 の各点で g(x) と同じ値をとるから、この恒等式が成り立つ。

任意の整数 n に対してn(n+1)2,1n2,n(n1)2はすべて整数である。したがって補間式から g(n) は整数である。さらに n3 も整数なのでf(n)=n3+g(n)は整数である。よって、すべての整数 n に対して f(n) は整数となる。

総評

3点で整数値をとるモニック3次多項式の整数性を証明する問題。想定時間は15分。a,b 自体が整数とは限らない。解法1は a+b,ab と連続整数の積、解法2は f(x)x3 の3点補間を用いる。どちらも任意の整数 n に対する係数の整数性を明記することが重要である。

冊子PDFで見る名大の整数の問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 1997年度 前期 文系 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。