方針
直線を y=mx+a とおく。a>0 なので放物線 y=3x2 と直線は必ず2点で交わり,囲まれる面積は2交点の x 座標の差だけで表せる。交点を与える二次方程式の判別式を D=m2+12a とし,面積を D3/2/54 に直す。傾き m は自由に選べるので,面積の最小値が4以下になる条件を調べ,等号を与える直線が実際に存在することまで確認する。
解答
直線 l を y=mx+a とおく。l と放物線 y=3x2 の交点の x 座標は 3x2−mx−a=0 の2解である。a>0 だから,判別式 D=m2+12a は正であり,2交点は常に相異なる。
この2解を α<β とする。解の差は β−α=3D である。また mx+a−3x2=−3(x−α)(x−β)=3(x−α)(β−x) なので,囲まれる図形の面積 S はS=∫αβ3(x−α)(β−x)dx=3∫0β−αu{(β−α)−u}du=63(β−α)3=54D3/2である。
ここで m を動かすと,D=m2+12a の最小値は m=0 のときの 12a である。したがって,条件を満たす直線が存在するための必要十分条件は 54(12a)3/2≦4 である。これを解くと (12a)3/2≦216=63 より 12a≦36 すなわち a≦3 である。 a>0 は問題の仮定であり,0<a≦3 のときは m=0 とすれば面積が4以下になる。よって求める範囲は 0<a≦3 である。
別解
解法2
方針
直線と放物線の差を平方完成し、囲まれた部分を左右対称な放物線弓形として積分する。傾き m の影響は弓形の高さ h=a+m2/12 にだけ現れるため、存在条件は h の最小値 a から直接判定できる。
解答
直線を y=mx+a とする。直線と放物線の上下の差を平方完成するとmx+a−3x2=a+12m2−3(x−6m)2.ここでh=a+12m2,u=x−6mとおけば、囲まれた部分では−3h≦u≦3hであり、面積 S はS=∫−h/3h/3(h−3u2)du=4(3h)3/2=334h3/2.固定した a に対し h=a+m2/12≧a だから、面積が最小になるのは m=0 のときである。したがって、面積が 4 以下となる直線が存在するための必要十分条件は334a3/2≦4.これは a≦3 と同値である。仮定 a>0 と合わせると0<a≦3である。
総評
放物線と直線で囲まれる面積を,交点の差と判別式で処理する問題である。難易度は5,計算量は4程度で,想定時間は15分前後。面積公式を暗記で使う場合でも,今回は係数が 3 なので 3(β−α)3/6 になる点を確認したい。存在条件を問われているため,任意の m ではなく m を動かしたときの最小面積を見るのが核心である。最後に m=0 で等号が実現することまで触れると,必要十分性が明確になる。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、問題文の解釈、図示範囲を確認した。
冊子PDFで見る名大の積分の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験 文系 前期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。