方針
5乗根の比較は、値を直接近似するよりも、関数 f(t)=(1+t)1/5 の凹性を使って一次近似との大小を押さえるのが最短である。f′′(t)<0 よりグラフは上に凸でない、すなわち接線より下にあるから、t>0 では (1+t)1/5<1+5t が成り立つ。一方、(1−t)1/5 についても接線評価を用いると (1−t)1/5<1−5t となり、そこから 1−(1−t)1/5 は 5t より大きいと分かる。ここで t=n1 と置けば、a,c,b の順序が決まる。
解答
n は正の整数であるから、u=n1 とおくと 0<u≤1 である。
まず f(t)=(1+t)1/5(t>−1) とおくと、f′′(t)=−254(1+t)−9/5<0 である。したがって f は上に凸であり、点 t=0 における接線 y=1+5t より下にある。よって u>0 に対して (1+u)1/5<1+5u である。これより a=(1+u)1/5−1<5u=5n1=c を得る。
次に −u∈[−1,0) を代入しても、同じ接線評価から (1−u)1/5<1−5u が成り立つ。したがって b=1−(1−u)1/5>5u=c である。
以上より a<c<b である。
別解
解法2
方針
平均値の定理を左右の増分に適用する。導関数 g′(x)=51x−4/5 は正で単調減少するため、区間 [1,1+1/n] の平均変化率は 1/5 より小さく、区間 [1−1/n,1] の平均変化率は 1/5 より大きい。
解答
n=1 のときは b=1>1/5=c を直接確認できる。以下 n≧2 とし、u=n1 とおく。g(x)=x1/5 に平均値の定理を用いると、ある
1<ξ<1+u と 1−u<η<1 が存在してa=g(1+u)−g(1)=5ξ4/5u,b=g(1)−g(1−u)=5η4/5uとなる。ここで ξ>1, 0<η<1 である。したがってa<5u=c<b.ゆえに大小関係はa<c<bである。
総評
難度は10段階中4、計算量は3。目安時間は8分。採点の核は、5乗根を小数近似せず、凹関数の接線または平均値の定理で厳密不等式を作ることにある。特に n=1 では 1−1/n=0 になるため、平均値の定理を使う別解では端点を直接確認する。最終順序は不等号を一列にまとめる。
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出典: 名古屋大学 2002年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。