方針
まず行列 が満たす2次関係 を計算し, を の一次結合で表す。条件式に代入すれば の係数と の係数がともに0となり, が で決まる。すると は ともう1つの2次式に因数分解される。前者は実数解を持たないので,正の解の存在は後者 の正根条件に帰着する。
解答
(1)
まず について計算する。よりである。したがって が成り立つ。よって であり, である。
これらを条件 に代入すると, である。 の係数と の係数をまとめると となる。もし なら,左上成分と右上成分を見ることで が分かる。したがって である。これを解いて を得る。
(2)
(1) より である。この式はと因数分解できる。実際,右辺を展開すると になる。
ここで であるから,これは実数解を持たない。したがって が正の解を持つことは, が正の解を持つことと同値である。
この2次方程式の2解の積は で正である。よって実数解を持ち,かつ2解の和 が正であれば,2解はいずれも正である。逆に正の解を少なくとも1つ持つなら,積が正であるためもう一方の解も正であり,2解の和も正でなければならない。
したがって必要十分条件は である。前者は であり,後者は であるから,両方を満たす範囲は である。 のときは となり,正の解 を持つので端点も含まれる。
別解
解法2(多項式の割り切れから求める方法)
方針
行列 が を満たすことから、条件 を「 が で割り切れる」と読み替える。(1)は商の係数比較、(2)は残った2次因子の正根条件を で処理する。
解答
(1)
直接計算するとである。また は定数行列ではないので、 を零点にもつ最低次数の多項式は である。したがって であるためには、4次多項式 が で割り切れる必要がある。
は最高次係数が 、定数項が だから、商を とおける。そこで の係数から である。よって(2)
(1)より第1因子は なので、正根は第2因子から生じる。正根を とするとを で割ってを得る。左辺は で 以上の値をすべてとるから、正根が存在するための必要十分条件はすなわち である。
総評
行列の問題に見えるが,核心は が満たす2次関係を使って4次式を2次式の積へ落とすことである。想定時間は18分前後,難易度は6,計算量は5程度。 と の係数比較では,それらが独立に扱える理由を成分で一言確認すると厳密になる。正の解条件では,積が で正であるため「1つ正」なら実は2解とも正になる点が重要である。判別式だけで終えると,負の2解を含む可能性を見落とす。